米国株「S&P500」への妄信は今後リスクとなる訳 当の米国年金基金も米国のみから「分散投資」へ
マネー本やマネー系YouTubeでは「S&P500」を指標とするインデックス・ファンドをすすめる声が目立つ。S&P500とはアメリカの代表的な株価指数のことである。現実に多くの投資家が、S&P500のインデックス・ファンドを買っている。
S&P500がすすめられる理由として、
・多くのアメリカ企業は世界規模でビジネスをしている
・アメリカ経済は近年調子が良いし、いまも成長している
・アメリカ企業には世界中から金が集まってくる
・アメリカ企業は株主優先の経営もしている
などが挙げられる。しかし私はS&P500を指標にするインデックス・ファンドをすすめない。
アメリカ経済はたしかに好調だ。データとしてもここ20~30年のアメリカ株は調子がいい。しかし、それは「20~30年という限られた期間」だけを見ているにすぎない。
過去の株高は今後の株高を約束しない
読者のみなさんの資産運用は30~40年以上続く。アメリカの株式市場の歴史は約200年あるが、そのうち重なりのない独立した40年間はたったの5回ほどだ。わずかな5つのサンプルだけで「今後もアメリカ市場の株価が伸び続けること」を判断するのは、統計的にも無理だ。
過去は未来の証明にはならない。「近年の20~30年は調子がいい」のは事実だが、今後も続くかどうかは誰にもわからない。
また、アメリカ一国に集中的に投資することで、投資の原則である「分散投資」が難しくなる。たとえば、アメリカの経済政策や税率、規制が変わると、アメリカ株だけが大きな影響を受けるリスクがある。アメリカ株だけに投資するよりは、アメリカ株を含む全世界に投資したほうがいいだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら