よしえ(46歳、仮名)が入会面談にやってきた。バツイチの再婚希望者だった。
最初の結婚相手は、40歳のときに派遣先で知り合った2つ年上の同僚男性。しかし、彼はキレやすい人で、つまらないことでキレては、よしえを罵倒し、暴言を吐いていたという。仕事意欲にもムラがあり、休みたいときに仕事を休むので、会社での評価も低かった。結婚生活は1年持たなかったという。
離婚後しばらくは、“結婚は、もう懲り懲り”だと思っていた。しかし、コロナになって、これからの人生をともに歩んでいけるパートナーの大切さを感じて、再婚相手を探そうと婚活を決意した。
夫の犯罪歴をネット記事で知った妻
よしえは、最初の結婚について、こんなことを言った。
「同僚として働いていたときから、短気な性格なのは見えていたんです。でも、優しいところもあった。私が1人でお弁当を食べていると、『飲む?』と給湯室のコーヒーを持ってきてくれたり。結婚してからも、私の人格否定をするような暴言を吐くけれど、冗談を言って2人で笑ったり、楽しい時間もあったんです。せっかく結婚したのだから、楽しい時間を増やすようにして、なんとかうまくやっていこうと思っていたのですが……」
そんなとき、ある過去の事実が明るみに出た。
「弟が、元夫が“小売店強盗をして捕まった”という、過去のネット記事を探してきたんです。現行犯で店員に取り押さえられて、金品を奪うこともなく警察に捕まったので、執行猶予付きの判決だったようです。それを知ったときには、さすがにドン引きしました。
彼に『私に何か隠している過去があるでしょう?』と言ったら、そこでもまたブチギレして、暴れて、部屋の中がメチャクチャになりました。その怒り方が尋常じゃなかった。それまでは、なんとかうまくやれないかと私も頑張っていたのですが、狂ったように暴れている彼を見て、離婚の気持ちが固まりました」
人は、程度の差はあっても、過ちを犯すことがある。過去を反省し、現在真面目に働き、パートナーを大事にしている人もいる。
過去の犯罪歴を結婚するパートナーにいうかどうかは、やはり人それぞれだ。タレントの中には、過去に犯罪に手を染め、逮捕され、罪を償ったあとにテレビ番組や自身のYouTubeチャンネルなどで、その更生した過程を赤裸々に語っている人たちもいる。結婚している人も多いので、彼ら(彼女ら)のパートナーは過去もすべてを受け入れて、人生をともに歩んでいこうとしているのだろう。
過去をすべて語るべきか否か。そこには正解はない。パートナーのどんな過去を聞いても、それを認め、許容できることが愛情なのかもしれない。ただそこまで認め合うには、長い年月を一緒に重ねる時間が必要なのではないか。
出会って、数カ月で結婚を決めてしまう婚活では、パートナーの過去をすんなり受け入れることは、難しいのかもしれない。
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