「えっ、気づかなかったですか? 私は毎朝鏡を見るたびに、“二重にして、可愛くなったな”“整形して良かったな”と思っていたんですよ。でも、会社の人とかは、気づいていないんですよね。気づいていても、言わないだけかもしれないけれど」
周りの反応がこうなのに、なぜ伝えなければいけないと思ったのか?
「もし生まれてきた子どもが一重だったら、整形を疑われるかなと思ったんです」
「としおさんは、二重なの?」
「あれ? どうだったかなぁ」
人の関心なんて、こんなものだ。それに遺伝には、隔世遺伝もある。親の顔を子どもがそのまま引き継ぐわけではない。それに、一重の子どもが生まれても、親はわが子が可愛いものだし、そこで妻の整形を疑ったりしないだろう。
「胸に詰め物が入っているから」と医師
私の知人にこんな男性がいた。結婚し、長男にも恵まれ、幸せに暮らしていた。長男が幼稚園に入る頃、妻が「乳がんになったかもしれない」と言い出した。胸にしこりがあるという。心配した彼は、妻を近くの病院に連れて行った。
当日、診断を終えた医師からこう言われた。
「胸に詰め物が入っているから、それが邪魔をしてX線撮影では判断ができません。いずれにせよ、しこりの部分を病理検査に出すので、良性か悪性かがそれでわかると思います」
病院からの帰り道、妻に「そうやって医者に言われたけれど、胸を整形したのか?」と、やや語気を強めて聞いたという。
すると、妻が逆ギレした。「アナタを喜ばせるためでしょ。フン!」。
結局、ガンではなかったようで、10年近く経った今でも彼女は元気に暮らしている。彼は飲み会の席で笑いながらこの話をして、付け加えた。
「俺を喜ばせるためって、出会う前なんだよな。そういえば子どもを出産した後に、母乳はあげずにすぐにミルクに切り替えていた。産後に胸の形が崩れるのが嫌なのかなと思っていたんだけれど、実は詰め物が入っていたから母乳が出なかったのかな」
美容整形の過去を伝えるべきか否か。それも人それぞれだろう。ただ結婚後にパートナーの整形がわかっても、それで離婚するカップルはまずいない気がする。DV、モラハラ、ギャンブル狂、借金、浮気が原因で離婚するカップルは、いるかもしれないが……。
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