アマゾンが人事で「変わり者」を推奨する納得理由 会社を毎年20%成長させる驚異の人事戦略

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ちなみに、アマゾンの本社ビルの入り口のエントランスには、アイスベアというニックネームのついたシロクマの祖先の骨格標本が飾ってあります。かなりの大きさで4000ドルぐらいしたらしいのですが、これをベゾスは自費で購入し「#Be peculiar」というメッセージとともに本社のエントランスに飾ったのです。

このクマは気候変動が起きても、いままでと同じ生活で同じものを食べ、同じ場所にとどまっていたため絶滅してしまいました。もし彼らが、南のほうに移動したり、食べたことのない植物や動物を食べたりする、ちょっと風変わりなクマだったら、ひょっとしたら生き残れたかもしれない。

つまりこの絶滅したクマを反面教師として、普通と違う、「お前、変わってるよな」と言われるくらいであることが、生き残るための1つの手段であるとベゾスは訴えたのです。

変わり者の証し、ペッキー

アマゾンのイントラネット上にある社員名簿「Phone Tool(フォンツール)」では、社内の資格を持っていたり、表彰されたりすると、社員の写真にアイコンが表示されるようになっています。そのなかにペッキー(Peccy)というゆるキャラみたいなアイコンがあります。

それはPeculiar(変わり者)であることの証明のようなものです。しかし決して悪い意味ではなく、アマゾンの人間は変わり者であることを求められているのです。

ペッキーのアイコンをもらうには、簡単なWebテストを受けなければいけません。「あなたがPeculiarかどうかを確認します」というテストがあって、10問ぐらい設問があります。これにイエスかノーかで答えていきます。全問正解すると「Peculiarです」と認定される。そしてフォンツールの自分の写真にペッキー(Peccy)のアイコンがもらえるのです。

それをもらえたからといって給料がアップするわけではないし、ましてや社外にも通用するような資格や肩書でもありません。でもアマゾンでは、Peculiarの体現者として一目置かれるのです。

佐藤 将之 エバーグローイングパートナーズ代表取締役/事業成長支援アドバイザー

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さとう まさゆき / Masayuki Sato

セガ・エンタープライゼスを経て、アマゾンジャパンの立ち上げメンバーとして2000年7月に入社。サプライチェーン、書籍仕入れ部門を経て、2005年よりオペレーション部門にてディレクターとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与。2016年、同社退社。現在は鮨職人として日本の食文化の発展に携わるとともに、成長企業での15年超の経験を生かし、経営コンサルタントとして企業の成長支援を中心に活動中。著書に『アマゾンのすごいルール』『アマゾンのすごい問題解決』(宝島社)、アマゾンのスピード仕事術」(KADOKAWA)、などがある。

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