アマゾンが人事で「変わり者」を推奨する納得理由 会社を毎年20%成長させる驚異の人事戦略
アマゾンは毎年20%の成長をしている会社ですから、3年たてば会社は倍の規模になる。10倍になるまでに、それほど時間はかからない。たとえ現在はあるビジネスが1日100という単位でしか動いていなくても、少なくとも3年後には倍になる。その何年後かには10倍になる。
だから100ならこなせるけれど、1000という数字に対応できないようなものをつくってしまうと、あっという間に対応できなくなる日がすぐに来てしまう。日本は経済成長しなくなって久しいので想像しにくいですが、アマゾンではこういうことがよく起きます。
だからつねに10倍になったとき、100倍になったときのことを考えなければいけない。これがThink Bigの例として、よく語られることです。
「ここまで大きくなるとは想定していませんでした」という言葉は、アマゾンでは基本的にあってはならない。大きくなることを前提に考えているかどうかが、このThink Bigという言葉につながってきます。
社員に「Peculiar」を推奨
この「Think Big」を実行すると、場合によっては「この人おかしいんじゃないの?」と思われることもあります。奇想天外な話をしたり、ほかの人が想像しないようなことを想像するわけですから、当然かもしれません。しかし人にどう思われようと、自分が信じた方法で結果を出すことのほうが大事に決まっている。
OLPの中には入っていませんが、アマゾンで大事にされている「Peculiar」という言葉があります。Peculiarとは「風変わりな」とか「変わっている」という意味です。アマゾンでは「変わり者」であることが奨励されるのです。
アマゾンはもともと、「頭がおかしい」「変な会社」と言われていました。それこそ2000年ごろは借金だらけなのに投資をやめず、拡大路線を突っ走っていましたから、ウォールストリートでは「必ず倒産するだろう」と言われていました。アマゾンがやろうとしていることが、市場には理解されなかったのです。
だけれどもジェフ・ベゾスを筆頭にアマゾンの経営陣たちは、自分たちのやっていることは正しいと信じていました。その先にある、彼らがThink Bigした世界を実現しようとして、まっしぐらにそこに向かって努力した。それこそがアマゾンが、あの大赤字から黒字に転換できた原動力の1つなのだろうと思います。
そもそもジェフ・ベゾスもよく言っていますが、アマゾンの人間は、長期的に見れば正しいことでも、短期的に見ると「あの人何やってんの?」と言われることが多い。とくにアマゾンは、お客さまのためになることを長いスパンで計画する会社なので、いまこの瞬間だけを見ると、「あの会社バカじゃないの?」と言われるようなことがたくさんある。
だけれども、自分たちはそれが正しいと思ってやってきたし、それが結果として功を奏している。だからアマゾンの人間は、そういうふうにちょっと風変わりな人だと思われるくらいでちょうどいいのだと、ベゾスが言い始めたのです。2011年とか2012年ごろのことです。
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