43歳の"好青年"小泉孝太郎さんが語る仕事人生 仕事、生活、壁の乗り越え方は…

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――ドラマ『眼の壁』のお話も。とても続きが気になる展開の話ばかりでした。

「これぞWOWOWだ」という「らしさ」にあふれた作品ですよね。作品の舞台が1990年代前半なので、映り込んではいけない背景も多々あり大変でしたが、懐かしさもありました。「ピンク色の公衆電話って、当時はよく見かけたな」とか。

作品の舞台になった当時、僕は12歳でしたが電車通学をしていましたし、電話のかけ方は幼稚園の頃に覚えていたので。僕の世代は親から10円玉をたくさん渡されて、「何かあったときに」と、定期券の中に緊急連絡先と一緒に入れていました。撮影でダイヤル式の電話を見たときも、「ああ、使ったことがあるな」と、ノスタルジックな気持ちになりました。

(c)「連続ドラマW 松本清張 眼の壁」

――公衆電話以外では神戸の「クラブ月世界」など、重厚感ある昭和の建物も印象的でした。エレベーターがなく階段が多い建物での撮影はいかがでしたか。

すごくきつかったです。らせん階段や昭和ならではの昔ながらの階段を上り下りするだけの“階段デー”が設けられていたのですが、登山している感覚になりました(笑)。朝から夜まで上り下りしていましたから。しかも、1日で撮りきるという。

内片輝監督は階段以外の建物にもすごくこだわる方で。僕が演じた萩崎竜雄が住むブルーの扉の古いアパートを見たときは、「こんな建物がまだ残っているんだ」と驚きました。萩崎が逃げる路地もすべて、昭和感が残っているので、当時を懐かしく思い出す方もいらっしゃるかもしれません。

念頭に置いていたのは無味無臭の男を演じること

――当時、小泉さんは子どもでしたが、作品では萩崎は働く大人です。演じるために意識した点はありますか。

松本清張先生が原作の作品ということにはとらわれず、削ぎ落とす作業をしました。萩崎は、ごく普通の一般的なサラリーマンだからです。ほかの役どころは謎めいていてクセのある人物が多いので、僕は視聴者の方々が萩崎目線で観られるようにスッと色をなくすというか。無味無臭の男を演じることを念頭に置いていました。

あと萩崎は、いつも疲弊しています。1話の途中から父親代わりの関野部長(演:甲本雅裕さん)を助けるために奔走し、何も悪いことをしていないのにどんどん追い詰められていく。その「やつれた感」や「疲れた感」は大切にしました。

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