独自の働き方を切り開く転勤族の妻たち ハンデもブランクもキャリアに変わる

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そんなロールモデルとなるべく奮闘する2人のTKTメンバーを紹介しよう。

ひとりは、新卒で入社した金融会社で正社員の事務職として働き続けているAさん(30)だ。転妻歴7年、かつ2児の母でもあるAさん。2度の転勤と出産を経ても正社員でいられるワケは、夫の転勤先に合わせて異動できる「配偶者同行制度」のおかげだ。

だが、Aさんはこの制度にあぐらをかいているわけではない。第1子妊娠中にはFP資格を取得した。「転勤族だからこそつねに実力を高めていかないと、受け入れ先のポストがないと思う」と、Aさん。実際、最近はこの制度の利用者が増えており、空きがなく異動がかなわないケースもあるそう。「支店のない地方に転勤になっても、FPとして起業という道もある」と、Aさんは独立も視野に入れ、日々スキルアップに励んでいる。

奥田さんもITスキルを武器に何度も転職をかなえてきた。何らかの分野で専門性を高めておくと、場所に縛られない働き方が実現しやすいのかもしれない。趣味を活かす転妻も多い。「タイ駐在時、現地料理やハンドメイドなどの趣味を極め、帰国後に講師になる駐在妻がたくさんいることを知った」と、奥田さん。専門スキルにしろ趣味にしろ、特定の分野を深堀りすることは、転妻がキャリアを作る方法のひとつといえる。

子連れでできる仕事があってもいい

詳細は週刊東洋経済臨時増刊「ワークアゲイン」(1月30日発売)をご覧下さい

もうひとりのメンバー、甚田知世さん(27)は、1歳の女の子を育てる都内在住の主婦だ。妊娠6カ月のときにパートを辞めたが、出産を経て、子どもが生後3カ月になる頃から「働きたい」とモヤモヤし始めた。

だが、会社勤めとなると、夫は家事を手伝ってくれるかわからないし、夫婦の実家は地方にあって両親の支援を受けることもできないので負担は増すだろう。かといって、子どもを寝かしつけてからの戦いとなる在宅ワークにも違和感を覚える。甚田さんは、思う。

「子連れでできる仕事があってもよいのでは?」

「ポラリス」が運営するコワーキングスペース「ココチ」のように、子どもを横で見つつ働くようなスタイルが理想だ。だが、子連れでできる仕事は現状ほとんどない。ならば新たな働き方を創出しようと、甚田さんは昨年11月からブログ「転妻ママの子連れで社会と繋がるプロジェクト」で情報発信を始めた。空間演出を学び、バースデープランナーとして講師デビューのチャンスをつかんだ甚田さん。今後どのような転妻ロールモデルを提示してくれるのか楽しみだ。

柔軟な発想で、ハンデやブランクもキャリアに変えていく転妻たち。この突破力は、ライフイベントでつまずき悩む、すべての女性の参考になるのではないだろうか。

佐藤 ちひろ ライター・エディター

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さとう ちひろ / Chihiro Sato

インテリア専門商社にて内装デザインや商品開発リサーチ等を担当後、美容系ECサイトや新聞生活情報面の編集に携わる。独立後は企業取材やライフをテーマにした企画を中心に執筆活動を展開。東洋経済オンラインでは「めちゃ売れ!コスパ最強商品はコレだ」「溺愛される商品にはワケがある」など消費財関連の連載執筆を担当。プライベートでは1児の母。

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