15年勤めた大手辞め「人生取り戻した」と感じた訳 仕事がつまらないという人に共通する最悪習慣

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このことは、オフィス勤務を前提とする人材流出と人材確保の難しさを引き起こすことになります。つまり、経営層として今、判断が必要なことは、在宅勤務で可能な業務については、積極的に導入する方が、生産性も含めて、プラスに働く点を理解し、人事制度を変更させることです。

しかし、同時に忘れてはならないのは、週1〜2日程度の出社を望む社員も少なくないということです。同僚や上司との円滑なコミュニケーションには、オフィスでの勤務も最小限、必要であると感じているという点です。

働かされていた人が、自ら主体的に働くようになるのか

この点を踏まえて、週4日在宅+週1オフィス、週3在宅+週2オフィス、このあたりが、社員の満足度も高く、生産性の高い、これからのハイブリッド・ワークになるのではないかと考えます。

①組織にキャリアを預けるのではなく、自ら主体的にキャリア形成していくこと
②人はいつからでもキャリア形成が可能であること
③主体的に働くことで、心理的幸福感が高まること
④個人と組織の関係性もより良いものにしていくことができること

の大切さを実感できるはずです。

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拙著『ビジトレ』では、「人は変われるのか」「働かされていた人が、自ら主体的に働くようになるのか」という問いを探究しました。結論から言えば、答えはイエス。NTTコミュニケーションズで実際に行われているキャリア開発プログラムを分析した結果、プログラムを受講した社員の76%に行動変容が生まれたことが明らかになりました。

「もう定年まで特に新しいことをしなくてもいい」と感じていた社員が、プログラムに参加して自分自身を見つめ直したことで、新たなことに積極的に取り組む。なかにはそんな劇的な変化を遂げた人もいました。人は職位にかかわらず、いつからでも変わることができる。主体的に働くことができる。 分析結果はそう物語っています。

キャリアを考えるのは、自分の働き方や生き方を自ら見つめ直すことでもあるので、理論的に理解し、問題に向き合うことで必ず解決の糸口が現れてくるのです。

田中 研之輔 法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事

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たなか けんのすけ / Kennosuke Tanaka

法政大学キャリアデザイン学部教授。UC.Berkeley元客員研究員、メルボルン大学元客員研究員、日本学術振興会特別研究員(SPD:東京大学 PD:一橋大学)。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。専門はキャリア論、組織論。社外取締役・社外願問を31社歴任。個人投資家。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。プログラム開発・新規事業開発を得意とする。著書に『プロティアン』(日経BP)など。企業研修やセミナー登壇は200社を超え、受講者は10万人を超える。

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