元宝塚・瀬奈じゅん「特別養子縁組で気づいた事」 彼女が感じた「1つじゃない」家族と幸せのカタチ
考えた末に、たどり着いたのは「夫と一緒に子どもを育てて、温かい家庭を築きたい」という答え。いつしか「妊娠すること」ばかりを考えるようになっていたけれど、私たちの場合、血のつながりがあるかどうかは関係ないんじゃないか。そう思えてきて、気づいたら特別養子縁組について熱心に調べていました。
そして夫に「選択肢の1つとして、特別養子縁組を検討してみたい」と伝え、あっせん団体の講習会に参加することに。その場には特別養子縁組をした親子も参加していたのですが、ご家族の幸せそうな姿に胸を打たれました。
血はつながっていないはずなのに、ご両親とお子さんのお顔がそっくりなんです。「ああ、家族なんだな」とごく自然に感じました。
治療の終わりとともに、再びステージへ
特別養子縁組を選択した背景には、幸せそうなご家族の様子を見たこと、施設で暮らす子どもの多さなど、いくつかの理由があります。そのうちの1つが、仕事でした。
特別養子縁組を検討し始めた頃、以前からお世話になっていたミュージカルのプロデューサーの方から連絡をいただいたんです。「また一緒に仕事をしたい、復帰の予定はありますか?」と。
休んでいたとはいえ、もともと大好きだった仕事です。もう舞台には立てないかもしれないとすら思っていたけれど、私にはまだ戻れる場所がある。そのことがうれしくて、「次の体外受精で結果が出なければ不妊治療をやめよう」と決断できました。
不妊治療はやめどきが本当に難しくて、どうしても「もう少し頑張れば妊娠できるんじゃないか」と思ってしまう。でも特別養子縁組を知ったことで、「子どもを授かることは家族を築くためのスタートラインなのに、いつの間にか妊娠することがゴールになっていたんじゃないか」と気づくことができました。
その後、7回目の体外受精が思うようにいかなかったのを最後に、私は不妊治療を終えました。そこからは、仕事復帰に向けた体づくりに励む日々。ジムに通ってトレーニングを積み、増えてしまった体重を半年かけて元に戻しました。体力が落ちていることを痛感しましたが、また仕事ができるという思いがあったので、つらくはありませんでした。
久しぶりに舞台に立ったときは、感慨もひとしお。不妊治療のために休業することは公言していなかったので、ファンの方たちにも心配をかけてしまったと思います。それでも、また精力的に活動を始めた私を見て、皆さんが喜んでくれることがうれしかったですね。