「親の愛着が足りない子」が示す3つの問題行動 親の愛情が一貫していない子に見られる兆候は
結果として子どもは、内面で苦痛を感じていても、外面に表すべき愛着の要求を最小限にするスキルを学んでしまう。子どもの内面の状態をなだめてもらう必要が〝地下に潜って〟しまうらしい。
つまり、その赤ちゃんは、基本的な人間関係のなかでの要求が満たされないことに順応している。「回避型愛着」を形成した子どもの場合、苦痛の合図さえ親に無視されるので、子どもは自分の苦しみには関心を向けてもらえないのだと考え、騒いで不満をあらわにしないほうがよい対応をしてもらえると察するようになる。
こういう子は〝行動回避〟によって、親との関係に順応する。母親が部屋にいてもいなくてもかまわないと伝えることによって、親の無関心に対処しているのだ。
ところで、念のために言っておくと、こういう「愛着戦略」は、特定の親とのやりとりの歴史を対象にしているので、別の保護者について評価すればまったく別の結果になることもある。子どもは一方の親とは回避型愛着を築いているかもしれないが、別の保護者とは安定型愛着で結ばれて、その恩恵を受けている場合もある。
どんな状況でも落ち着かない
不安定型② いつも心が落ち着かない「葛藤型愛着」の子ども
不安定型愛着を示す子どもの第2グループは、「葛藤型愛着」に分類される。こういう子の親は、一貫して細やかな愛情を注ぐわけでもなければ、一貫して無関心で鈍感なわけでもない。問題なのは、親の一貫性のなさだ。
親は、細やかで敏感な反応をすることもあれば、しないこともある。結果としてこの愛着関係は、親を信頼できるかどうかについて、子どもの心に大きな不安と葛藤を引き起こす。
たとえば、この実験では、葛藤型愛着を示す乳児は、母親が出ていったときも戻ってきたときも、なかなか落ち着かせることができない。安定型愛着を示す子のようにおもちゃ遊びに戻ることもなく、心配そうに、あるいは必死に親にしがみつく。そこには、愛情深い世話や慰めから生まれる信頼が欠けているように見え、母親と身体的に触れ合っても子どもは安心感をいだけない。