グーグル「Nexus Player」は買いなのか スマホとテレビを繋ぐ1万2800円の箱の正体

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その課題について、筆者の体験から、具体的な事例を1つ挙げよう。筆者の家では、主にスポーツ中継を見るために、ケーブルも契約している。正確には、契約せざるを得なかった、というところだ。

NBCやESPNなどのスポーツチャンネルのアプリがApple TVには用意されているが、ケーブルテレビの契約がなければこのアプリをアクティベートできず、仕方なくの契約となった。2014年は冬季オリンピックやサッカーワールドカップなどがあり、リアルタイムで見られなかった映像をApple TVで楽しむというスタイルが便利だった。

待たれるセットトップボックスの進化

ドラマやドキュメンタリーなどは既にストアでのレンタルや販売、ストリーミングに対応しているが、こうした放送権や広告が関わるスポーツイベントについては、まだネット向けのセットトップボックスだけで楽しむのは難しい。

アップルはこのあたりについて、権利保有者と交渉を行っているというニュースが昨年出ていたが、まだ具体的な内容が示されているわけではない。

次(第4世代)のApple TVについても、まだその姿は明らかになっていないが、例えば4Kへの対応、ゲームコントローラーへの対応、そしてケーブルテレビ局のより深い対応などが期待され、Siriへの対応も競争上不可欠なものとなるだろう。

アップルにはスマートホーム連携の開発キットであるHomeKitがある。Apple TVが今後、HomeKitをサポートし、家の中のIoTデバイスを束ねる役割を担うという使い方は自然だ。すぐに家の中のデバイスの状態を大きな画面で確認し、リモコンや音声で操作できる環境は、すでに難しくない将来の姿といえる。

(写真は各社の製品紹介ホームページより転載)

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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