グーグルは、なぜスペースXに出資するのか 30億人を直接つなぐ「衛星ネット構想」
地球周回軌道にデバイスを飛ばす
グーグルは世の中でインターネットへの接続が可能な人の数を増やすため、目新しいものにも臆することなく大金を投じてきた。この2年間にも、超小型衛星群や、太陽光発電で地球を周回する無人機、あるいは成層圏に舞い上がる風船によって、地球の上空からネット接続を中継するという計画に乗り出している。
加えて今度は投資信託大手のフィデリティと合わせて10億ドルをスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)に出資すると発表した。スペースXは成長中の民間ロケット会社だ。これから世界に向けて実力を示すという段階にある。やがてグーグルは宇宙空間にデバイスを配置するための手段を得るかもしれない。
そうして地球上空にそろえたデバイスを使えば、世界中のネット未接続地域にも届くはずだとグーグルは考えている。投資としての意味の中には、直接グーグルとつながる人が増えればたくさん広告を見てもらえる、という皮算用もあるだろう。広告収入で儲けているのだから。
「どういうサービスになるとしても、中継をすれば利用状況に対して強い立場になり、売り上げ増の可能性もある」と調査会社フォレスター・リサーチのアナリスト、J.P.ガウンダーは指摘した。つまりユーザーは検索もメール(Gmail)も動画(YouTube)もグーグル系を利用するという可能性が増すわけだ。
衛星ネットという構想は、決してグーグルだけのものではない。1月15日にはヴァージン・グループと通信用半導体の大手クアルコムが、衛星通信網の構築に取り組むワンウェブに出資したことを発表している。1月20日には靴箱サイズの撮影用ミニ衛星を製造するプラネット・ラブズが9500万ドルの資金を調達したと発表した。