回帰分析ではさらに、要因を変えてみたときの購入意向率を予測することもできる。具体的には、価格を変えるとしたとき、回帰分析で引いた直線うえで、その価格に対応する購入意向率を見ることで、収集したアンケート中になかった価格のパターンについても、購入意向率を予測することができる。
図2の例でいうと、価格がXのとき、購入意向率はYとなると予測される、といった具合である。回帰分析を用いて予測することにより、主観的な判断でなく、客観的なデータから予測することができる。
回帰分析では、要因と結果の関係を表現する直線が得られるが、この直線はいったいどのようなルールに基づいて決定されているのだろうか。
回帰分析では、プロットした各点と直線との距離(誤差)の合計が最も小さくなるように、直線を引いている。誤差が最も小さくなる点は、最小二乗法というテクニックを使うことで数学的に求めることができる。
回帰分析ではなるべく誤差が小さくなるように直線を引くものの、データのバラつきによっては、直線をうまく当てはめられない場合もある。うまく当てはまっているか確認したい場合は、回帰分析を実行した際の決定係数を見るとよい。Excelで回帰分析を行った際は、「重決定 R2」セルが指す数値が決定係数にあたる。
決定係数は0から1の値をとり、大きいほど当てはまりがよく、小さいほど当てはまりが悪いことを示す数値である。決定係数が小さい場合は、結果の信頼性も落ちることに注意する必要がある。
高度なテクニックが求められるときは専門家に相談
本稿では、アンケートを題材に回帰分析を紹介し、その活用方法である要因の影響度測定と予測について触れた。要因の影響度測定や予測は、人間が直感で行うこともできるが、回帰分析で関係性を明らかにすることにより、データに基づいた客観的な指標を得ることができる。
近年、回帰分析はExcelをはじめとしたさまざまな統計ソフトウェアで実行することができる。得られたデータを客観的に解釈したいときに使ってみてはいかがだろうか。
ただし、実際に運用する際には、回帰分析はあくまでシンプルな分析モデルであることに、留意しておく必要がある。分析モデルを構築する対象によっては、多重共線性を意識した要因の選択/要因の縮約や、要因のさらに要因までを組み込むモデルを用いるなど、ここでは取り上げ切れなかった高度なテクニックが求められる場面もあるだろう。
よりデータの実態に沿った高度な分析を行いたいときは、データ分析の専門家に相談してみるのもよいだろう。
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