「自ら悩みを解決できない人」に欠けた数学的思考 「悩み=理想-現実」の引き算で考えてみよう

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悩みの定義が難しいと考える方は、次の〇〇に言葉を当てはめてもよいでしょう。どのような言葉が入るでしょうか?

“悩み”とは、〇〇である。

そもそも「悩みとは何か?」を考えたことがある人は、ほとんどいないでしょう。しかし、「悩み」なるものの正体が言語化できていない人が、はたしてその「悩み」を解決できるのでしょうか。

たとえば「“優しさ”とは何か」を知らない人が本当の意味で人に優しくできないように、「そもそも“悩み”とは何か」が分かっていない人は、その“悩み”なるものも解決できない——。ですから先ほどの問いには重要な意味があるのです。

もしかしたらみなさんからは、「“悩み”とは、ストレスである」「“悩み”とは、モヤモヤしたものである」「“悩み”とは、自分の足を引っ張るものである」など、さまざまな答えが出てくることでしょう。それらはすべて正解です。いえ、むしろ間違いなどありません。

悩み=理想と現実のギャップ

一方で私の考えは、「“悩み”とは、理想と現実とのギャップである」です。

たとえば、「人間関係に悩んでいる」というのは、あなたの理想とする人間関係があるものの、理想と現実に食い違いがあるということです。

「仕事がうまくいかない」や「最近太ってきた」なども、すべて同じです。理想と現実の食い違い。これが悩みの正体です。

いったんこの定義で話を進めるとしたとき、私たちが悩みを解決するために必要なことは何でしょうか。

シンプルに考えましょう。“悩み”を「理想と現実のギャップである」と定義することで、悩みを解決するためには2つの情報が必要だということが分かります。

2つの情報とは、理想と現実のことです。

繰り返しになりますが、“悩み”は理想と現実のギャップのこと。ならば、悩みを解決するためには“理想が何か”、“現実が何か”をそれぞれ具体的にする必要があります。

たとえば、「最近太ってきた」という悩みを解決するためには、理想と現実の情報が必要です。

現在の体重が53kg、理想の体重が50kgだとすると、理想と現実のギャップは(現実の体重)−(理想の体重)です。つまり、53kg−50kg=3kgとなります。仮に、現実の体重が53kgではなく60kgだった場合は、理想と現実のギャップが10kgとなります。

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