NHK「17才の帝国」に現実を重ねてハマる人の目線 才能の集結した青春SFエンタメは何が面白いのか

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「17才の帝国」の良さのひとつは、ふんだんなロケが行われていることだ。主に長崎市佐世保で撮影がされている。たとえば、古くからの店舗とリノベーションしたような店舗が並ぶ狸穴商店街。佐世保にある商店街で撮影し市場の活気がみなぎって見える。また、空に突き出た3本の塔(ソロン)は、針尾送信所の無線塔。そこの見張り塔が真木たちの官邸の外観として使用されている。これらは大正時代にできた建造物で、物語のなかでは古いものを切り捨てようとしているが、このドラマは古いものをうまく使って制作しているのだ。

サスペンス性が増していく

第3回は、ここから徐々に物語にサスペンス性が増していき目が離せなくなっていく。

真木はリストラ候補者たちと1人ひとり面接をはじめる。そこにはサチの母もいた。誰もが自己主張をして辞めたくないと命乞いするなか、彼女だけは……。

17才の総理と既得権益を手放したくない大人たちは折り合わない。トップ4の最年長(といっても25歳)、環境開発大臣の鷲田照(染谷将太)は日本の総理大臣・鷲田継明(柄本明)の孫で、大人と若者の間にはさまれ右往左往する。

鷲田総理がなかなかクセモノで、不正献金疑惑があったが、彼の第一秘書・白井(高橋洋【たかははしごだか】)が一家そろって謎の事故死をしたことで有耶無耶になっている。

第4回は、さらにサスペンス性がアップ。終わりに向けて勢いが増していく。

真木が理想の国をつくろうとしている理由が明らかになっていく。少年時代、孤独だった彼に優しくしてくれた少女・雪と謎のAIスノウ(ユキ)との関わり、そして、白井の事件との関わりは……。

また、次期首相候補であり内閣官房副長官の平清志(星野源)は真木たち世代に寄り添う姿勢を見せていたが、内面に秘めた感情を次第に見せはじめる。

「17才の帝国」の良さのもうひとつは、俳優陣の良さ。星野源のクールな表情の裏の微妙な心情の震え。やたらと靴を磨く仕草が彼の精神状態を表しているようだ。染谷将太も飄々としているようで、なにかを秘めているように見えるし、柄本明、田中泯、岩松了などの重鎮が若者たちに圧を加えていく。彼らに取り囲まれ、センターに立つ若者たちは、主演映画「20歳のソウル」も好評の、思索的なまなざしが印象的な神尾と、連ドラ「未来への10カウント」(テレビ朝日)でもパワー漲る山田。ふたりのフレッシュさがこのドラマの肝だ。風に吹かれるふたりのなんと爽やかなことか。

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