NHK「17才の帝国」に現実を重ねてハマる人の目線 才能の集結した青春SFエンタメは何が面白いのか

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6月4日(土)放送の第5回は最終回。都市実験の行方、真木の秘密、ユキの存在、鷲田総理の黒い疑惑、サチの恋、平の思い……とまだまだ問題が山積み。1話・50分で描ききれるのか。そもそも就任してすぐに改革が順調にいくわけはない。第5回では触りしか描けないだろう。いきなり数年後に飛んでしまったら残念だし、いい形に着地してほしい。この手のドラマは大風呂敷を畳めず終わることもよくある。そうならないように願いたい。

今回の全5回を第1部として、この先、第2部、第3部と実験都市ウーアを舞台にした青波サーガ的なものを作ってほしい。そんなスケールが広がりそうなポテンシャルを秘めたドラマである。

さて。NHKの若い世代を主人公にした社会問題ドラマは、京都の古い大学寮存続問題を描いた「ワンダーウォール」(脚本:渡辺あや)、不祥事を起こした大学の広報マンの奮闘を描く「今ここにある危機とぼくの好感度について」(脚本:渡辺あや)、ネット社会の最前線に切り込んだ「フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話」(脚本:野木亜紀子)などがあり、好評を博してきた。これらはかなりリアリティーのあるドラマだった。

その一方、近未来を舞台にしたものもある。「きれいのくに」(脚本:加藤拓也)は理想的な美を求めるため整形が当たり前になったのち今度は整形が禁じられるようになった世界を描いた物語的にもビジュアル的にも先鋭的なものだった。

フィクションとノンフィクションを混ぜる

このようにNHKはフィクションとノンフィクションをうまく混ぜたようなドラマをおりにつけ放送している。いずれも今の時代に合った新しいドラマを作ろうという意欲が感じられる。「17才の帝国」もそのひとつと言っていいだろう。

つい最近、NHKは、つづきが気になる、海外でも通用するような脚本を共同開発するWDRプロジェクトを立ち上げ、脚本家の一般公募をはじめた。民放よりも開発する余裕があるだろうから今後ともいろいろ試してほしいと願う。

木俣 冬 コラムニスト

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きまた ふゆ / Fuyu Kimata

東京都生まれ。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。

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