NHK「17才の帝国」に現実を重ねてハマる人の目線 才能の集結した青春SFエンタメは何が面白いのか

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現実にもありえそうな設定がしびれる(画像:NHK「17才の帝国」公式サイトの6月4日放送回予告動画より)

NHKの土曜ドラマ「17才の帝国」(土曜よる10時〜)が攻めている。近未来の日本を舞台にした10代の少年少女の物語は、現実でもやがてこんなことがありそうだなと思えて、主人公たち世代もかつて主人公たち世代だった者でもともに楽しめる。

(※ここから先は一部ネタバレを含みますので、これから初めてご覧になる予定のある方はご注意ください)

実際にもありえそうな“しびれる”設定

〈202X年、日本のGDPは戦後最大に落ち込みG7からも“除外” 失業率は10%を超えた 人々はこう読んだ 経済の日没 サンセット・ジャパン〉

設定がしびれる。実際にもありえそうである。

どん詰まりの近未来の日本が生き残りをかけて発足した“プロジェクト・ウーア”。それは官民一体で開発した最先端のAI による実験都市をつくること。地方都市・青波市が独立特別行政区に選ばれた。

実験都市ウーアを統べる閣僚は、15歳から39歳までの若者を3機のスーパーコンピュータによるAI ソロン(声:緒方恵美)が決める。1台ではなく3台であることで判断の偏りが防がれるという寸法だ。

選ばれた厚生文化大臣、財務経済大臣、環境開発大臣、総理大臣のトップ4は25歳以下の若々しさ。とりわけ総理大臣となった真木亜蘭(神尾楓珠)は17才の高校生。ソロンはなぜ彼を選んだのか、その謎にたどりつくまでのしばしの間、真木が政治に辣腕を振るっていく。

シリアスな政治ドラマをベースに主人公たちの恋や家族問題、SF的な仕掛けなども盛り込んだ意欲作。脚本は「平家物語」や「映画 聲の形」、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」など人気アニメを手掛ける吉田玲子で、作り込んだ世界観と細やかな感情描写を美しい物語に仕立てた。

エンディングはPVのような洒落た映像でそれが毎回変わる話題性は、カンテレのヒットドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」を思わせる。それもそのはずプロデューサーが同じ佐野亜裕美なのだ。彼女の参加でNHKドラマにやや不足しているオシャレ感も万全だ。甘くないエモさのあるドラマになった。

社会派リアリティー面は「ハゲタカ」や「外事警察」など徹底的なリサーチをしてドラマを作る訓覇圭が制作統括とあって信頼感が増す。

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