労基署が動く事件とスルーされるトラブルの違い 上司にクビと言われた!労基署は助けてくれる?
昨今、雇用関連のニュースが増加しています。
「アマゾン」の荷物の宅配を運送会社から業務委託された個人事業主のドライバーについて、事実上の雇用関係にあるとして、労働基準監督署(労基署)が運送会社に労基法違反で是正勧告していたことを5月29日付で読売新聞が報じました。同じ日に上智大学が非常勤講師に賃金未払いだったとして、労基署から是正勧告を受けていたことを毎日新聞が報じ、それぞれSNSなどで話題となりました。
いずれのニュースにも労基署が登場しています。労基署とは厚生労働省の第一線機関で、全国に321署あります。法定労働条件に関する相談や、勤務先が労働基準法などに違反している事実に行政指導を求める申告を受け付けたり、定期的あるいは申告などを契機に事業場(工場や事務所など)に立ち入って監督・指導をしたりします。重大・悪質な事案については、刑事事件として取り調べなどの任意捜査や、捜索・差し押え、逮捕などの強制捜査を行い、検察庁に送検する司法警察事務も担っています。
そんな労基署について、使用者による不当労働行為の相談を何でも受け付けてくれる「駆け込み寺」であるかのようにアドバイスをしている識者がいます。
人員整理は突然やってくる
友田勉さん(42歳、仮名)は大手メーカーS社の営業部課長の職責にあります。首都圏の中堅私大を卒業しS社に入社、営業畑ひと筋に20年が経過しました。社内恋愛で結婚し、2人の子供にも恵まれました。上司の勧めもあり35年ローンの自宅を購入したのは5年前のことです。通勤は会社まで片道1時間半かかりますが、充実した生活を送っていました。
そのような時、上司から急な呼び出しがありました。呼び出された部屋に入ると、上司と人事部の課長が座っています。上司からは突然、「君には今日で辞めてもらう。荷物はあとで宅配便で送るから心配しないでくれたまえ!」と一言。人事課長からは業績悪化でやむをえないことの説明があり、無理やり誓約書にサインをさせられました。
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