労基署が動く事件とスルーされるトラブルの違い 上司にクビと言われた!労基署は助けてくれる?
必死に掛け合いましたが、けんもほろろで取り合ってくれません。パソコンは押収されて、ルームキーも取り上げられました。いわゆる、ロックアウト解雇です。これで給料の見込みは立たなくなりました。友田さんは、ショックのあまり精神的ダメージを受けました。しかし、悩んでいる時間はありません。早急に対策をしなければなりません。
いま考えられる選択肢は2つあります。不当解雇を訴えて会社に残る道を模索するか、会社に見切りをつけて就職先を探すかです。奥さんが専業主婦で無収入であることから、友田さんは何とかして会社に残る道を探すことにしました。どのような行動に出ることが望ましいのでしょうか。
以上はいくつかの実例をもとにしたフィクションですが、ここからが本稿の本題です。
労働基準監督署に駆け込んだら
このような時に、「労基署に駆け込め」とアドバイスされて、実際にそうしたらどうなるでしょうか。
おそらく窓口で軽くあしらわれて相手にしてもらえないでしょう。運よく監督官と面会できたとしても、対応は監督官のさじ加減ひとつです。労基署に持ち込まれる案件は山のようにあり対応しきれないことが原因です。
労基署に知り合いでもいれば状況は変わるかもしれませんが、そういう人は滅多にいないと思います。また、労基署が後ろ盾になり解雇の撤回を求めることはありません。違反があれば是正措置はするものの、解雇が有効か否かなどの判断はしません。労基署には司法警察としての権限がありますが、個別の事案については対処しません。
友田さんの事案が極めて悪質で監督官と面会できた場合はどのようになるでしょうか。おそらく、次のように言われるはずです。
「会社に連絡を入れます。依頼があった旨を話しますがよろしいですね?」
良くも悪くも友田さんが労基署に駆け込んだことが会社へと知られることになります。
労基署に駆け込んでもすぐに状況を改善することは難しいと思われます。なんらかのアドバイスをもらうことはできると思いますが、自ら行動しなければいけません。
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