「ご当地アイドル」疾走、発信力に行政も注目

あのAKB48グループも新潟に拠点を築く

なぜ福岡のアイドルが盛り上がるのか。九州のサブカルチャーのメッカ、「あるあるCity」(北九州市)で企画担当をする因恵佑氏は、その理由として、「福岡は松田聖子、浜崎あゆみ、最近では”1000年に1人の美少女”として脚光を浴びた橋本環奈(福岡のアイドルグループ『Rev. from DVL』の一員)らの出身地。ファンの目が肥えている」ことを挙げる。彼らは1つのグループに固執せず、「いろいろ見て回る『DD』(=誰でも大好き、を意味するファンの符丁)的な傾向が強い」ので、グループ間競争が促され、活性化につながっている。

各地のアイドル運営会社やイベント主催者に、ご当地アイドルのファン像を訪ねると、グループごとに多少の偏差はあるものの、おおむね次のような人たちだ。性別では9割が男性。年齢・性別では、40代男性が1位、30代男性が2位で、この2つの集団で全体の8割近い。20代以下は意外に少なく、50代以上がちらほらいる、といった具合である。

地方の活況は福岡に限ったことではない。U.M.Uのプロデューサー、ホリプロの阿部悟氏は、「各地でご当地アイドルが増えているが、転機は2011年の東日本大震災だった」と振り返る。「絆」が求められ、郷土愛、地域おこしの気持ちの高まりも後押ししたようだ。

AKB48、あまちゃん、橋本環奈

加えて2010年前後から、AKB48の爆発的ブームが起こり、ご当地アイドルもジワジワ市民権を得ていった。それらの社会的事象をなぞるかのように、人気脚本家の宮藤官九郎氏によって、ご当地アイドルになる女性を主人公にして描かれたドラマが国民的に大ヒットした。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」だ。「『あまちゃん』ヒットの影響で2013年以降、ご当地ゆるキャラなどと、地方イベントで共演する機会が増えた」(前出の大蔵氏)ことも、世間一般への浸透に一役買った。

2014年には落ち着くかに見えたご当地アイドルブームも、福岡から彗星のごとく現れた、「橋本環奈さんが新しい成功例となったことで、夢を与えられたアイドルたちは活気づき」(前出の阿部氏)、グループ数も増加傾向にある。

 「(AKB48の姉妹グループで名古屋地盤の)『SKE48』が軌道に乗り、地方でもアイドル運営が可能とわかった」と語るのは、「ももいろクローバーZ」を擁する、スターダストプロモーション芸能3部の長谷川ミネヒコ氏。同社が地方に活路を求めたのは、「東京でアイドルが飽和し、新しくやろうとしてもコンセプトが被る。ならば新幹線で日帰りできる所で立ち上げよう」(長谷川氏)、という理由だった。

そこから愛知県出身者のみで構成された、「チームしゃちほこ」が始動。東京人がイメージする、“ベタな”名古屋をコンセプトに、地元を中心に活動するご当地アイドルではなく、全国へ向けた発信をしてきた。2014年には8000人規模の日本武道館コンサートも実現させている。スターダストはさらに西へ進出しているが、それも、まだ地方発に商機を見込めるからだ。大阪では「たこやきレインボー」に再注力、福岡でもレッスン生を集めて新グループ立ち上げを準備する。

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