「ご当地アイドル」疾走、発信力に行政も注目

あのAKB48グループも新潟に拠点を築く

名古屋・大須が拠点の「OS☆U」も、自治体からのイベント出演依頼で忙しい

近年では行政とのタイアップも目立ってきた。「大勢いるので街頭のチラシ配布に適している。地元在住の子らが啓発するから、単なる有名タレントより説得力がある。しかも低予算で済む」(交通安全運動の告知をdelaに依頼した愛知県県民生活部)。名古屋・大須を拠点に活動し、2014年度NHKオンデマンドの公式イメージキャラクターや愛知県公認の「PLAY!AICHI特派員」を務める、「OS☆U」の青山悠二マネージャーは、「自治体からのイベント出演依頼はさらに増える傾向。土日は3、4カ月先までスケジュールが埋まっている」と嬉しい悲鳴だ。

 活躍の場は国内に限らない。ご当地アイドルの運営コンサルティングや関連番組を手掛ける、「日本ご当地アイドル活性協会」の金子正男氏は、「2020年の東京五輪に向け政府のクールジャパン戦略もあり、インバウンド(訪日外国人旅行者)を呼び込むのに活用されるのでは」と占う。

アジアでクールジャパンを訴え

実際に2012年度補正予算編成の際には、海外における”日本ブームの創出”を狙い、コンテンツの海外発信に対する総合支援として「ジャパン・コンテンツローカライズ&プロモーション支援助成金(J-LOP)」が、2年間で155億円計上された。2015年2月末まで申請を受け付けており、最大50%まで費用補助が受けられる。これまでの採択件数は7割以上と高い(2014年末で4692件の申請中、3375件を採択)。

 2013年に香港でアジア初のアイドルフェスティバルを開催して以降、台湾を含め、計4回の「KAWAII POP FES」を実施してきたZeppライブの橋元恵一・フェスティバル事業部長は、「数十人のアイドルの子たちの渡航、宿泊、食事の費用をおおむねカバーできた。正直、この助成金がなかったら、初回を開催することも難しかった」と振り返る。

経済産業省メディア・コンテンツ課の板橋優樹・総括係長は「安倍内閣の『地方創生』政策の趣旨からしても、地方のやる気ある事業者を支援したい意向は強い」とし、コンテンツに関連したご当地アイドルの活用など、地方からの利用増加に期待する。2015年度も60億円の海外展開支援策が盛り込まれる見通しだ。

その意味では、中央を経由せず、地方が海外に直につながる時代が到来していると言える。福岡発のファッションイベント、「福岡アジアコレクション(FACo)」もJ-LOPの助成金を受けて、アジア地域各地で開催。2014年5月にはシンガポールでアジア最大級のファッションイベントに参加した。前述のLinQから「Amihime」名義でソロ活動する姫崎愛未がライブ出演し、現役国立大学医学部生の”才媛”として人気の秋山ありすがステージMCを務めた。

ただし、目下大注目のご当地アイドルだが、懸念もなくはない。メンバーとファンとの度を超えた私的な交流や、“ハグ会”のような節度のない手法も、ごく一部で散見される。コンプライアンス(法令順守)を軽視すれば、大きな落とし穴もありえよう。

前出の金子氏によれば、東京拠点のアイドル500組を除いたご当地アイドルは、2015年1月現在、約450組存在する。地元でコアなファンを抱えたり、行政や企業の支援を受けたりしているグループは、持続力も大きい。玉石混淆の中からどこが残るか、ご当地アイドルのふるい落としはこれからが本番だ。

「週刊東洋経済」2015年1月31日号<26日発売>「核心リポート03」を加筆して転載)

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