子どもの野球離れの要因「用具が高い」は本当? サッカーやミニバスと初期費用を比較してみた

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越谷市も野球人口の減少が進んでおり、危機感を抱いた長瀬教諭は地元の少年野球チームや高校野球部の監督、大学野球部と連携し、今年4月に「野球の街越谷」実行委員会を立ち上げた。吉本興業らと協力して、初心者の子どもを対象にした野球イベントを開催するなど、野球人口の復活を目指し勢力的に活動している。

経済的な問題で野球をあきらめてほしくない

「経済的な問題で子を野球チームに入れるのをためらう親や、用具にかかるお金で親に負担をかけたくないと、野球をあきらめようとする子どもを支援していきたいんです」(長瀬教諭)

実行委では、企業から協賛金を募って野球用具をまとめて購入し、部活動や少年野球チームに支給する計画や、野球イベントの際に古い用具の即売会を開くことなどを検討しているという。

「野球を始めたてでスライディングなどの激しいプレーをしない時期なら、Tシャツと短パンで十分ですよね。『こうあるべき』を見直していかないと、野球の未来はないと思います」(長瀬教諭)

親による「お茶当番」や試合会場への車での送り迎え、指導者の古い体質など、用具の問題以外にも、野球離れの要因とされる問題は複数指摘されてきた。だが、長瀬教諭は現状をこう話す。

「市内のある少年野球チームでは、子どもたちが卒団するときにグローブやバットなどの用具をチームに残してもらい、次に入ってくる子どもに使ってもらう取り組みをしています。親による『お茶当番』や送迎を廃止したチームもあります。古い体質が残っているのは事実ですが、変わろうと努力しているチームがどんどん増えていることも知ってほしい。もし子どもが少年野球に興味を持ったら、一つだけではなく複数のチームを見学して話を聞いて、合いそうなチームを探してみてください」

白球を追いかける子どもが増えることは、野球好きの大人たちの共通の願いなのだ。

(AERA dot.編集部・國府田英之)

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