バイデンの台湾防衛発言を「失言」と見る人の盲点 何度も繰り返している発言を失言と呼べるのか
大統領ジョー・バイデンの発言は、結局のところ「失言」と呼べるようなものではないのかもしれない。そもそも、バイデンは「台本」を何とも思っていない可能性もある。
バイデンは政府の公式見解と異なる発言で物議を醸すことが多く、こうした事態はバイデン政権の特徴となっている。そして、それが政権のバグ(誤作動)でないことを示す発言が23日にまたしても飛び出した。台湾有事への対応についてアメリカが何十年と保ってきた「曖昧戦略」をすっ飛ばして、台湾を軍事的に防衛するとした発言だ。
バイデンが本音を口にするたびにホワイトハウスが火消しの大作戦を展開するのは、今や定番の光景となっている。バイデンが言明した内容について、その真意は違うということにしてみたり、たとえそれが真意であったとしても、政策の変更を意味するものではないとしてみたり……。それでもバイデンは何も気にせず、悪びれることもなく、同じ発言を繰り返す。
プーチンに対しても本音コメント
大統領が本音を堂々と語り、その後、スタッフが「真意」を説明して回る。23日の台湾防衛発言は、そうした出来事の一例に過ぎない。3月には、バイデンがロシア大統領ウラジーミル・プーチンを戦争犯罪人と呼んだ(側近らは、これは法的な結論ではなく大統領の個人的な見解だと直ちに釈明)。
その数日後には、演説の最後にアドリブでプーチンを「権力の座にとどまらせてはならない」と発言する一幕もあった(側近らは、これは単なる意見にすぎず、体制転換を呼びかけるものではないと火消しに走った)。