バイデンの台湾防衛発言を「失言」と見る人の盲点 何度も繰り返している発言を失言と呼べるのか
台湾はアメリカにとって、日韓やNATOのパートナー国と同じ安全保障を提供する相手とはなっていないため、この発言は重要視された。そして、その2カ月後にはCNNが企画した対話集会で、台湾が攻撃されたらアメリカは防衛に向かうのかと聞かれ、「そうだ。そうするのがわれわれのコミットメントだ」と話している。
バイデンが東京で即興的に行った発言は、ワシントンでさまざまな反応を巻き起こした。大物政治家の中には、同盟地域への支援を率直に表明したバイデンを称賛する声がある一方、バイデンは規律を守れない人物だとして嘲笑する声も出ている。
バイデンの側近らを批判する向きも
とはいえ、バイデンは責任ある伝統的外交政策の修復に大きな役割を果たしていると考えている政界関係者の間ですら、大統領とスタッフの溝を懸念する声が広がっているのは事実だ。中には、大統領の発言を公式に認めず、自らが仕えるべき上司の権威に傷を付けていると、バイデンの側近らを批判する向きもある。
例えば、共和党所属でありながら反トランプというイリノイ州選出の下院議員アダム・キンジンガーは「ホワイトハウスには、アメリカ大統領の言葉を本当に尊重している人間はいるのか」とツイートした。
「バイデンは台湾を守ると言ったのに、スタッフはまたしても大統領自身の言葉を(公式ラインに)引き戻した。このようなことをするスタッフを、バイデンは全員クビにするべきだ」
ただ、この件でバイデンがスタッフをクビにすることはないだろう。というのは、側近がバイデンの発言について事後説明を行うときには、本人から許可を得ているか、少なくとも本人が黙認していると考えられるためだ。もっとも、側近がこうした行動をとったからといって、「失言」の抑止につながっているわけではなく、近く抑止効果が発揮されることもなさそうだ。良い意味でも悪い意味でも——。
(執筆:Peter Baker記者)
(C)2022 The New York Times
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