パリの書店でヘルムート・ニュートンに代表されるような写真家によるアーティスティックな女性のヌード写真集の表紙がショーウィンドウに飾られていたことは記憶にあるけれど、ヌードとはいえ同じくくりにはできないと思うけど、どう思う?アーティスティックであればヌードも公共の場に大いにさらして結構、とは思わないけれど……。
エマニュエル : さっき言ったように、法には女性の裸そのものが禁止であるとは書かれていなくて、あくまでもポルノ的要素のもつものと記載されている。それなので、女性の裸であっても、それが社会的にみてポルノ的性質がなく、芸術作品とみなされるものであれば許可されるというわけだ。
それこそ、ルーブル美術館には女性の裸の絵画や彫刻はたくさんあるし、オルセー美術館には、女性の性器を描いた絵画で有名なギュスターヴ・クールベの「世界の起源」もある。
もちろん、成人に許可されているポルノの中でも、未成年者を被写体とするものは固く禁止されている。そのため、ポルノ映画や雑誌などの被写体は成人であることが義務付けられている。
個人が外に見える形で飾るのはどうか
くみ : 日本にはポルノ画やフィギュアなどを表にさらすのも抵抗がない人もいるみたい。わざと裸の女性の絵が描かれたバスタオルをバルコニーの外側、つまり近所の人たちに見えるように干している写真をオンラインに載せる“ゲーム”をする人たちをネット上で見かけた……。
フランスは街の美観のため、そもそも洗濯物を屋外に干すことはないけど、例えば子どもも乗っている公共交通機関内でグラビア写真やポルノ漫画を他人にも見える形で広げて読んだりすることも共通点があると思う。フランスでは10年以上住んでいて一度もそういう光景を見たことがないけど、エマニュエルはどう?