電車から「週刊誌広告」を排除した阪急の美意識

車両や運営施設に共通する「高級ブランド戦略」

阪急電鉄は電車の外観を「マルーン色」で統一している。後ろに見えるのは宝塚大劇場(筆者撮影)

新型コロナウイルス感染症の拡大は、4月ごろから鉄道業界にも深刻な影響を及ぼしている。東海道新幹線の利用者数が例年より9割以上減少したのを筆頭に、鉄道各社の利用者数は激減。緊急事態宣言の解除から数カ月が経過した今も、明らかに空いている。

そして、列車に乗るともう1つ、新型コロナの影響を肌で感じることができる。これまでは車内のあちこちに見られた広告が、減っているのだ。ドア横や窓上の広告スペースに何も掲示されていない車両が増え、広告があったとしても、よく見ると沿線案内であったりマナー啓発のポスターだったりする。一般企業からの出稿が減ったため、自社のPRに活用されている状態だ。

電車の車内広告と言えば…

ところで、こうした車内の広告はどういったジャンルのものが多いのだろうか。いわゆる“定番”は、週刊誌や書籍の紹介、マンションを中心とした不動産関係、そして高校・大学・専門学校や予備校など教育関係だろう。

近年は弁護士事務所やソーシャルゲームなどが増え、女性専用車両だけに化粧品の広告が掲出されることもある。路線や季節によっても変化が見られるものの、都市圏の通勤車両であれば、大まかな傾向は鉄道各社でそれほど変わらない。

だが、大手私鉄のなかでただ1社、この傾向が通用しない会社がある。それは、阪急電鉄だ。阪急の車内を見渡すと、他の鉄道会社ではごく普通に見られる、あるジャンルの広告が一切ないことに気づくだろう。そのジャンルとは、週刊誌である。

阪急は以前から、「鉄道という公共の場にふさわしくない内容が含まれることがある」という理由で、週刊誌の車内広告を一切掲出していない。そう言われて、他社の車両に掲げられた週刊誌の広告を見ると、確かにセンセーショナルな見出しが並ぶものも少なくない。

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