「出社圧」に悩む人へ心身の健康を保つ3つの方法 在宅勤務からフル出社で寝つきが悪化する人も

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出社への切り替えで起床時刻を早めなければいけない人もいるだろう。複数の企業の産業医を務める「産業保健メンタルヘルス研究会」代表理事の鈴木安名さんはこう指摘する。

「体のさまざまな生体リズムを調整する体内時計は、1日25時間周期で動いていて、朝の太陽の強い光を浴びることで24時間にリセットされますが、在宅勤務中に夜更かしし、起床時間が遅かった人は、体内時計が乱れ、海外旅行の時差ボケのような状態、つまり“在宅時差ボケ”が生じている可能性があります」

すると疲労感、倦怠感(けんたいかん)、やる気の喪失、集中力の低下など、うつ病やうつ状態の入り口と見分けがつきづらい症状が出る。対策としては、仕事があろうとなかろうと朝は一定の時間に起き、大きく伸びをし、カーテンを開けて太陽の光を浴びること。「今後、在宅勤務が解除予定」という人は、その2週間ほど前から準備すべきだという。

うつ対策には筋トレ

さらに鈴木さんが「うつ対策で外せない」と挙げるのが、運動だ。有酸素運動に関してはうつの予防・治療に役立つことを報告する研究が数多くある。筋トレに関しても、うつの症状を改善する効果があると示した研究結果が発表されている。

「筋トレがいいのは、目に見えて結果が出るところ。腕立て伏せが5回しかできなかった人が、1カ月後には20回できるようになる。見た目も変わる。自信がつき、自己肯定感が高まります」(鈴木さん)

心身の不調は、労働生産性を低下させる。会社側としては、どういった対策が有効なのか。

日本産業カウンセラー協会常務理事・シニア産業カウンセラーの中川智子さんはこう話す。

「在宅勤務が長期間にわたり、それを前提とした日常が確立されています。変化はストレスになる。以前の労働形態へ移行するなら、ウォーミングアップ期間を設けたい」

時差通勤やフレックスタイム制など各人が最もパフォーマンスを上げられるような労働環境を整える。一方、仕事内容によって、それらがままならない場合もある。一律に「出社」とするのではなく、部署、または社員ごとに、なぜ出社が求められるのか、丁寧に説明をする。

「新入社員の中には、入社以来ほぼ在宅勤務という人もいるでしょう。人間関係が確立されていない中での出社は、よりストレスに感じるかもしれません。上司の側から積極的にコミュニケーションを取るよう心がけてください。また、いきなりマックスの成果を求めるのではなく、無理なく仕事に入っていけるような配慮も必要です」

とはいえ、「飲みに行くぞ!」と無理に誘うのはアルハラになりかねないのでご注意を。

(ライター・羽根田真智)

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