就活生が志望企業を「ベンチャー」に変えた瞬間 大手に就職することばかりが幸せとは限らない

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企業の建前と本音の乖離が透けて見えるのが「女性活躍」だ。採用ホームページでは若手女性社員・管理職のインタビュー記事が掲載されていても、選考で会うのは男性ばかり。これでは信用されない。

根強く男女格差が残っているのは、主には社歴の長い企業だ。当然のことながら大手が多い。

「イベントに女性管理職が出てこないと、出世できないのかと不安になる」(理系・旧帝大クラス)

「男女格差の根強さ。女性活躍と説明会では言っているにもかかわらず、面接で会う上席はほぼ男性しかいなかった。仕事内容も男女関係ないと言いながらも、ほとんど男性、ほとんど女性しか選ばない職種など分かれていた」(文系・上位国公立大)

女性活躍を建前としてうたうことの多い大手に対し、ベンチャーではそもそも男女を意識しない社風が珍しくない。多くのベンチャーでは採用人事、部課長、取締役に女性がいる。

「想像以上に女性が働きやすい環境が整っていると感じた。また、若手のうちからさまざまなことを任せてもらえる企業が増えていると感じた」(文系・上位私立大)

企業の品格がわかる「サイレント」

企業の採用手法の中で、学生の忌避感が最も強いのがサイレントだ。サイレントの前には「お祈りメール」が2000年代前半に登場しており、サイレントという言葉は2010年代に入ってから使われるようになった。

この合否判定の連絡は、学生の好感度を大きく左右する。「サイレントで合否を出さない企業は利用したくないなと感じた」(文系・中堅私立大)と書く学生は多い。つまり、企業は学生をサイレント(無視)することにより、将来の顧客を失っていくわけだ。逆に、丁寧に連絡する企業への評価は高い。

「応募者に対して不誠実な企業の印象は悪くなった。顧客としてその企業の商品を買いたいと思わなくなる」(理系・その他国公立大)

「自分がとても好きな企業が選考に不合格だと連絡もくれなかったりした。逆に、それほど好きでなかった企業の連絡が早く、フィードバックもいただけると企業イメージが向上した」(文系・旧帝大クラス)

「選考結果を合否にかかわらず送ってくれる企業はコンプライアンスも徹底している気がする」(文系・上位私立大)

学生は就活初期において、 社名を知っている企業へのアプローチから始める。多くの学生は大手に憧れ、「立派な大人が働いているのだろう。自分もその一員になりたい」と考える。しかし、就活を通じて認識は深まっていき、「大手=安定=成長」という図式がいつも正しいわけではないことを学び、安定した大手企業だとしてもそこの社員が幸せとは限らないことを口コミサイト情報で知る。

そして、「企業は人」という見方を学習していく。「学生に対する態度が顧客への姿勢や社風に似ている」(文系・中堅私立大)とコメントする学生がいるが、そのとおりだろう。

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