就活生が志望企業を「ベンチャー」に変えた瞬間 大手に就職することばかりが幸せとは限らない

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就活が進むと、次第に中堅中小企業やベンチャーを志望する学生が増えてくる。その理由で多いのは、「関門の高さ」だ。

「大手は倍率が高く、その分優れた人材が多い。私はそこで勝てなかった」(文系・その他国公立大)

「大手に落ちまくった。大手以外にもいい企業があるとわかった」(文系・中堅私立大)

学生は就活によってたくさんの経験をする。知らなかったことに気づき、社会の仕組みを見つけていく。つまり、自分の無知に気づき、利口になっていく。

例えば業種や職種、そして「B to B」と「B to C」。これらはキャリアセンターのキャリアガイダンスで教えられる内容だが、自分が動くことによって再発見し、認識を深めていく。

「B to Bの企業の活動に目を向けるようになった」(文系・旧帝大クラス)

「1つの会社でもいろいろな職種があることを知った」(理系・上位国公立大)

「CMでよく見る企業の勤務形態や賃金といった待遇に驚くことが多かった。大卒はオフィスワークをする人がほとんどと思っていたが、販売職の募集が多くあり驚いた」(文系・早慶大クラス)

大流行の「SDGs」に胡散臭さ

日本社会に対する批判の根拠として「建前と本音の乖離」がある。別の言い方をすれば、「言っていることとやっていることが矛盾している」ということだ。

就活で学生は企業理念を読むとき、この建前と本音の乖離を疑う。なぜなら、どの企業も学生から良い評価を得るために綺麗な言葉を使うからだ。綺麗な言葉は似ている。「ワーク・ライフ・バランス」や「女性活躍」は定番中の定番の言葉として使われている。最近では「サステイナブル」や「SDGs」が大流行している。

流行しているのでSDGsをアピールする企業は多い。ただSDGs が掲げる17の目標は、貧困、飢餓、健康と福祉、教育、ジェンダー平等などのとても大きな課題解決なので、学生は企業の取り組みやアピールに「乖離」を感じ、胡散臭さを嗅ぎ取っているようだ。

「どの企業もSDGsの開発目標を意識するとは言っているので、きちんと行動が伴っているかどうかを確認する必要がある」(文系・早慶大クラス)
「企業はうそつきだと思った。実際の話を聞いてみると、求人情報や就活サイトに記載していることと違う部分が多い」(文系・その他私立大)

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