高3になり、いくつかゲームプログラマーを育成する専門学校も見学しましたが、あまり響かず。周りが進学や就職などの進路を決めていくなか、ひとり進路に思い悩むようになりました」
そんな折、たまたま見ていたドラマの影響で「華やかな世界を見てみたい」と考えるようになった古川さんは、高校卒業後、役者の道を目指してタレント養成所に通うことに。演技のイロハを1年間学んだ後、一旦、WEB制作会社に就職。フルタイムで働きながら、趣味の延長で演技の勉強や役者としての活動を目指すようになったという。
「社会人コースのある演劇関係の養成所を探していたとき、中途募集していた声優養成所を見つけて。もともとアニメもよく観ていて好きでしたし、週1で演技について学べるということで通うことにしました」
だが、友人との関係がうまくいかず、兄が引きこもっていた実家にも居場所がなく、家庭環境や人間関係に問題を抱えていた古川さんは、程なく声優養成所の講師とも揉め事を起こしてしまった。
「低賃金で残業代も出ないブラックな職場でのストレスなども重なり、養成所でトラブルを起こしてしまいました。
周りから僕の演技は“憑依型”と言われていましたが、ひとり芝居を順番にみんなの前でやっていく授業で、なぜか急に倒れるって演技をやってみたら、その演技が妙に生々しかったらしくて。慌てた周囲に救急車を呼ばれそうになった結果、講師の人に『やっていいことと悪いことがある!』と激怒されたんですよ(苦笑)。
確かに求められている演技ではなかったと今はわかるんですが、その時は納得できずに反抗してしまったという感じですね」
命を断つつもりで「聖地巡礼」
中学時代にいじめを受けた経験がある古川さん。その影響もあったのか、何かと人間関係のトラブルを抱えがちで、若い頃は情緒も不安定な傾向もあったようだ。
自暴自棄の状態で家族や職場にも行き先を伝えず、自らの命を絶つつもりで失踪。とあるアニメ作品の舞台へと向かったのだが、ここで印象的な出会いがあった。
「ネットで聖地となっていた湖の畔で、遺影を抱えて湖のほとりに佇んでいる50代くらいの女性がいたんです。『あなたも○○(作品名)が好きなの?』『私の息子も好きで、ここに頻繁に来てたのよ』と話しかけられて喋っているなかで、その遺影が息子さんで、どうやら病気で亡くなったらしいと知りました。
生きたくても生きられなかった人がいるのに、自分は勝手に人生を諦めようとしていた。女性の話を聞き、何ともいたたまれない気持ちになると同時に、『もし自分が今死んだとして、こんなに悲しんでくれる人はいるのかな?』という思いが浮かんで、胸が張り裂けそうになったんです」
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