「多置換ベンゼン合成」、英ネイチャー誌に

名大大学院理学研究科の伊丹教授らが成功

液晶や医薬品など産業分野への応用が期待されている(名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所提供)

「ベンゼン」といえば、炭素と水素が六角形に結びついた構造式で知られる基本的な化合物。2015年はその発見(ファラデー、1825年)から190年、「亀の甲」構造の提案(ケクレ、1865年)から150年の節目に当たる。

そんな記念の年に、名古屋大学の研究グループが意欲的な研究成果を示した。長年、不可能だと思われていた「多置換ベンゼン」の合成に成功したのだ。今後、液晶や医薬品などの産業分野への応用拡大にも道が開けるのだという。

合成化学の「難題」、10年がかりで解答

成果を発表したのは、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所の拠点長で、名大大学院理学研究科の伊丹健一郎教授(43)を中心としたグループ。日本時間の27日早朝、科学誌ネイチャー・ケミストリー電子版で論文(アーティクル)が公開された

ベンゼンは六角形のベンゼン環に結合する6つの水素原子を、さまざまな原子や分子(これらを「置換基」と呼ぶ)に置き換えることで、各種の材料や医薬品の原料などにできる。しかし、ベンゼンの構造や性質から、6つの水素を自由に、すべて違う置換基で置き換えることはできず、合成化学の難題とされていた。

伊丹教授らは、これを「多置換ベンゼン問題」と名付けて2006年ごろから研究に取り組んだ。ベンゼンから一つ一つを置き換えるのではなく、まず五角形の構造をしたチオフェンの原子などを順番に置き換え、最後に2つの置換基を合成することで、六角形のすべて置換基が違うベンゼンを作り出せた。

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