ノーベル賞、「3人同時受賞」の深い意義

閉塞感の出口を目指すための"松明"に

10月7日、青色発光ダイオードを開発した日本人科学者3名がノーベル物理学賞を受賞した(写真:AP/アフロ)

ノーベル物理学賞受賞者に青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授が選ばれた。日本人としては一昨年に医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大教授以来の快挙だ。

間に立つ天野教授の絶妙な役割

3氏の顔ぶれ自体に、深い意義が感じられる。知名度では抜群であろう中村教授。徳島の中小企業で辛酸をなめながら這い上がったサクセスストーリー、その後の発明対価をめぐる訴訟などでのアグレッシブな印象は歴代の日本人受賞者の中でも際立っている。世界に対する日本人のイメージを変える意味でも、今回の受賞は心が躍るものだろう。

対照的に赤崎教授は、この道一筋のオーソドックスな研究者。戦中は軍需工場勤務も経験、戦後に京大で「鉄」や「結晶」の研究に携わった後、1970年代からは松下電器産業(現パナソニック)や名古屋大学で窒化ガリウムによる青色LED開発に没頭。「一生かけてもできないかもしれない」と思っていた研究を80年代の終わりになって結実させた。

名城大に移ってからも毎年、ノーベル賞候補としてその名前が挙がり続けていた。特許料の一部は母校の名古屋大学に寄付、研究業績などを紹介する「赤崎記念研究館」はすでに名大構内に建てられている。誰もが納得し、誰もが喜ばしいであろう今回の受賞だ。

両氏に比べれば知名度の劣る天野教授。30以上年齢の離れた赤崎教授を師と仰ぎ、中村教授よりも6歳若い。現役研究者として今も飛び回り、受賞の知らせも学内では受けられなかった。しかし、この快挙は天野教授の業績と役割なしにあり得なかったことは間違いない。

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