「大切な人の死」を意識した患者家族がすべきこと 「第2の患者」として医療やケアが必要な場合も

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それでは、大切な人ががんになり、そしてがんが進行していったとき、家族はどうしたらよいでしょうか。

気持ちがすぐ楽になるような簡単な解決方法ではありませんが、少なくとも現実を否定することではなく、「正しく傷つく」ことからはじめる必要があります。

がんが治ってほしいということを願うとともに、「この人はいなくなってしまうかもしれない」という考えを押し込めるのではなく、不安や悲しみといった感情にふたをせずに考えて対応するのです。

必ずしも気持ちを保とうとしなくてもいい

私はよく患者さんやご家族から、「気持ちを保てなくなることが心配だけど、どうしたらよいか?」という質問をいただくことがあります。

それに対して、「受け入れがたいことが起きたとき、気持ちを保とうとしなくてもよいのです。怒りや悲しみ、不安などの感情も大切な役割があり、感情のおもむくままに過ごせば、心はどこかにたどり着くのです」とお答えします。

たとえば、怒りは自分を守るための感情ですし、悲しみは心の傷をいやす役割があります。これらの感情の助けを借りながら、大切な人との時間を大切に過ごすことで、一緒に精いっぱい生きたという感覚を持てるようになります。

そうすれば、"そのとき"が来たとしても最初はさみしさでいっぱいかもしれませんが、大切な人との想い出を胸に、再び新たな人生を歩みだすことができるのです。

清水 研 精神科医、医学博士

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しみず けん / Ken Shimizu

がん研有明病院腫瘍精神科部長、精神科医、医学博士

1971年生まれ。金沢大学卒業後、内科研修、一般精神科研修を経て、2003年より国立がんセンター東病院精神腫瘍科レジデント。以降一貫してがん医療に携わり、対話した患者・家族は4000人を超える。2020年より現職。日本総合病院精神医学会専門医・指導医。日本精神神経学会専門医・指導医。著書に「もしも一年後、この世にいないとしたら(文響社)」、「がんで不安なあなたに読んでほしい(ビジネス社)」など。

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