BtoB企業が「広報」に苦戦するのは至極当然の訳 メディアが報じる会社とそうでない会社の差

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メディア業界のカラクリを元日経新聞記者が明かします(写真:bee/PIXTA)
昨今では日本企業でも、コストが高い「広告」に頼らない「広報」の取り組みが重視されるようになっている。業種や業界を問わず、新たに広報活動に取り組んでみようとする企業が多いが、そこにはひとつの落とし穴がある。
消費者向けのビジネスを行うBtoC(Business to Consumer)企業ではうまくいっている広報活動でも、対企業の取引(Business to Business)を主とするBtoB企業では、同じことをしているはずなのに、全然うまくいかないという事例が多いのだ。
元・日本経済新聞の記者で、現在は広報コンサルタントとジャーナリストの二足のわらじを履く日高広太郎氏の著書『BtoB広報 最強の攻略術』から一部抜粋、再構成してお届けする。

報道記事は信頼性が高く、契約に結びつきやすい

私が広報を担当した会社で、営業担当者から、広告では知名度は上がるものの、新規契約にはさほど結びつかないという話を聞いたことがあります。特にテレビCMなどでは、イメージ広告だけのことも多く、売り上げには結びつきづらいケースが多いようです。

一方で、広報の取り組みで獲得できる新聞記事などの「報道」について、彼らに聞いた話は真逆でした。

私は彼らから、「記事が掲載された新聞を持って行ったら、お客に話を聞いてもらえた」。「交渉の最終段階で新聞記事が出て、新規契約の後押しになった」といった感謝の声を多く聞きました。雑誌に載った記事を見せたら、「これから、相談は必ずあなたにしますよ」と取引先の経営者から言われたという話もあります。

世の中にイメージ広告はありますが、イメージ報道はありません。報道はあくまで、具体的にどんな商品やサービスなのか、ニュースとして情報を伝えます。つまり、広報によって獲得できる報道は、企業の知名度だけでなく、「認知度」も引き上げるのです。

認知度が高いとは、その企業が「どんな事業に携わっているのか」、あるいはその商品やサービスが「どんな内容で、どのように役立つか」を、潜在的な消費者に理解してもらえている状態です。

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