小中学生の「野球肘検診」実施が重要視される背景 全国各地で実施も、ほとんどがボランティア

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「私が野球肘について知ったのは、十数年前、千葉県で行われた野球指導者講習会で、柏口新二先生(当時東京厚生年金病院整形外科、現在は国立病院機構徳島病院)の講義を聞いたのがきっかけです。

その後、子供の投球過多による障害のメカニズムについて自分なりに調べて、投げすぎや間違った投げ方をすれば、どんな問題につながるかを知りました。私たちが指導者の指導に介入することはできませんが、野球肘検診を実施することで、指導者や保護者の意識変革を促すことができるのではないかと思いました」

谷中代表(筆者撮影)

谷中氏は先行して行われていた京都の野球肘検診を視察して、専門家のアドバイスを受け、環境を整備。地元神戸での野球肘検診開催にこぎつけた。

「いろんな病院に声をかけて、応じてくださったのが神戸市の『あんしんクリニック』さんでした。

このクリニックと一緒に、年4回ほど小規模の検診会を開催していましたが、病院側の負担も大きいし、手間もかかるので、1度でやってしまおうということで、2018年からは神戸大学病院のご協力も得て、大規模な検診会にしたんです。今年で5回目になります」

前述したとおり、3年前までは1000人近くの選手が兵庫県だけでなく大阪府からも参加した。また野球肘検診だけでなく、リズム体操の講習や、整形外科医、理学療法士による野球選手の障がいについてのセミナー、管理栄養士による栄養教室などの催しが行われていた。

子どもにOCDが見つかると軽症でも数か月はノースローとなり、試合に出すことができない。当初は、それを恐れてエースだけ参加させない指導者もいた。また、野球肘にならないための練習方法やケアの方法をレクチャーしても耳を貸さない指導者も多かった。

そこで谷中氏らは、指導者ではなく主として保護者を対象とした講座を設けるようになった。

無料で行われるイベントはどう運営している?

野球肘検診やケアの指導、各種の講座などは、すべて無料で行われる。谷中氏はこのイベントをどのように運営しているのか?

「基本的にはボランティア、持ち出しですね。500円くらい参加費を取ろうか、と言う話もあったのですが、できるだけ参加のハードルを下げたいので、無料で実施しています。

運営費用は企業のスポンサーフィーで賄っています。今回は100以上のスポンサーさんが集まりましたし、組織をNPO法人化したので、手数料なども含めてとんとんという感じです。来年以降は少し残るんじゃないでしょうか」

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