小中学生の「野球肘検診」実施が重要視される背景 全国各地で実施も、ほとんどがボランティア

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野球肘検診は徳島県で始まった。徳島大学病院が野球少年の障がいの実態を調べるために、少年野球組織と連携して大規模な検診を行ったのだ。

それ以降、各地で実施されている。筆者は新潟県、群馬県、奈良県などでも「野球肘検診」を見てきたが、これらはすべて「兵庫野球肘検診」と同様、医師、理学療法士などのボランティアで運営されている。

谷中氏のような実行力のある指導者と、美舩氏のような理解ある医師がいる地域では、こうした大規模な野球肘検診が実施できるが、実施資金やリソースが足りない地域では、実施されていない。

野球界に必要な意識改革

野球少年の心身の健康を守るのは、第一に保護者、そして指導者、さらには学校や各種野球団体の責務ではないだろうか。

日本高野連は2018年に「高校野球200年構想」を打ち出したが、その5大目標の一つは【けが予防】だった。

【けが予防】
けが予防講習会の開催
高校生対象の肩ひじ検診の実施
小中高生対象の継続的な肩ひじ検診の実施
けがの予防やセルフチェックのための手引書、DVDを製作
野球手帳の製作

しかし日本高野連が主催した大規模な野球検診などは、いまだに行われていない。

谷中氏は語る。

「今年は480人が参加して、OCDの罹患者は14人でした。回数を重ねることで、指導者が代わっても来てくれるチームも増えました。チームの中には公式ホームページに『兵庫野球肘検診に参加しています』と書いているところもあります。PRになるんですね。

また『OCDの子が出たらチームの恥や』と思う指導者も出てきました。意識は少しずつ変わってきていると思います。これからは後継者も育成して、ずっとこの活動を続けていきたいですね」

この分野でも野球界の意識変革を促したい。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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