10歳から仕事して進学「パックン」語る日本の入試 新聞配達と学業を両立させハーバード大に合格

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仕事と学業を両立させながらハーバード大に合格した過去をもつパックンが指摘した、日本の入試のいびつさとは(写真:クロチャン/PIXTA)
一部の大学の男女比が偏っているのは筆記試験だけで審査しているからだ──お笑いコンビ「パックンマックン」のパトリック・ハーランさんはそう喝破する。非都市部の貧しい家庭で新聞配達の仕事と学業を両立させながらハーバード大に合格した過去をもつパックン。学生の「多様性」をめぐる視点から、日本の入試のいびつさを指摘した。

日本の入試制度が見落としていること

当記事は、AERA dot.の提供記事です

──ハーバード大やスタンフォード大などの海外大の男女比率がほぼ5対5なのに対して、東大の男女比率は8対2という状況が続いています。

昨年、女子学生が少ない東大の工学部に「女子枠」を設けるべきかどうかを論じた記事について、次のようにコメントしていますが、その意図を教えてください。

“【提案】より公平な大学生男女比に近づけるために、クオータ制も女子枠も必要ない。大学入学審査を「試験ベース」から「試験込み」に変えるだけでもだいぶ是正できるはず。「男性生徒は試験が得意だが、女性生徒は学校の成績がいい」。この現象は多くの国で確認されているが、日本も例外ではなさそう。高校の成績や部活、クラブ、ボランティアでの活動、さらに論文と面接を審査対象にいれれば、ジェンダーブラインドな審査でも女性生徒は対等に戦えるのだ”(朝日新聞デジタル「コメントプラス」2021年12月30日)

2018年のニューサウスウェールズ大(オーストラリア)の研究では、「女性は男性よりも6.3%成績がいい」と分析されています。さらに、STEM科目(科学、技術、工学、数学)において、クラスの上位10%は男性と女性が半々になるとも考えられています。つまり、学校の成績では、理系の科目であっても男女に差はないのです。

大学生が論文を書くためには、知識だけでなく、ディスカッションを通じて自分の意見を練ることが必要です。これは普段から真面目に学習を続ける態勢が整っている、学校の成績がいい学生こそそれができそうでしょう。筆記試験の点数を重視する日本の入試制度は、そこを見落としているのではないかなと思います。

アメリカの大学入試では筆記試験だけでなくエッセー(小論文)が課されます。書くだけではありません。卒業論文を提出した後は、先生からの内容に関する指摘に対してその場で応答する「ディフェンス」をしなくてはならない。これは社会でも必要とされる能力です。

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