子乗せ自転車「3人乗り」の悲惨な事故を防ぐ方法 総重量は100㎏超、7割がヒヤリハットを経験

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こうした自転車の多くが電動アシストだが、バッテリーを積んだ自転車本体の重量が30㎏ほどあり、ここに大人1人、子ども2人の体重が加わると100㎏を超えることもある。

走行中はアシスト機能で軽快に走れても、発進の際にハンドルがぐらついたり、子どもの乗せ降ろしをした際に車体のバランスを崩せば、小柄な女性が1人で体勢を立て直すのは容易ではない。

2019年に実施された消費者安全調査委員会のアンケート調査によると、事故には至らなくても危険な思いをした「ヒヤリハット」の経験者は、子乗せ電動自転車の利用者全体で57%だったのに対し、幼児2人を乗せた3人乗りに限定すると74%と上昇する。

3人乗りは2009年6月まで交通ルール違反だった。警察が取り締まりを強化した時期もあったが、子育て世帯からの3人乗りの合法化を望む声は多く、専門家などによる検証を重ねたうえで「安全性等の要件を満たす『幼児2人同乗用自転車』に限って同乗が認められることになった」(警察庁担当者)。

3人乗りに対する高いニーズの背景の1つにあるのが、都市部の保育園不足により家から遠い保育園に通わざるを得ない家庭が少なくないことだ。

千葉県に住む30代の佐藤あかりさん(仮名)も、3歳と5歳の子どもを保育園へ送り迎えする際に子乗せ自転車で3人乗りをしている。

保育園は家から2㎞ほど離れており、当初は自家用車で通う前提で選んだ園だったが、急きょ夫が通勤で車を使うことに。バスと徒歩で通園する方法もあるが、子どもの足で片道40分、雨の日は1時間ほどかかり、往復すると佐藤さんの始業時間に遅れてしまう。

2人分の保育園グッズを持って混雑した朝のバスに乗るのも至難の業だ。そこで、片道15分以内の自転車での通園が最善だと判断した。

ただ、危険な思いをしたことはゼロではない。

「スポーツをしていて普通の女性よりは力があるはずの自分でも、重い自転車を扱うのは難しく、転倒したことがある。幸い、うちの子はヘルメットやシートベルトをしてくれるので、バランスを崩してもゆっくり自転車を倒せば頭を打ったり投げ出されることはないが、保育園では親がお願いしても嫌がる子がおり、安全性の確保は簡単でないと感じる」(佐藤さん)

危険性は理解しているものの、「自転車がないと生活が成り立たないのが現実なので、3人乗りは危ないからやめろ、という声には心が痛む」(佐藤さん)とジレンマを抱える。

専用自転車の利用は必須

安全に乗る方法はないのか。

幼児2人を同乗させる基準を満たした専用の自転車を利用することは必須だ。幼児1人までならば、一般的な自転車に後付けで幼児用座席を付けることは合法だ。一方、2人乗りの場合は安全性の基準を満たした「BAAマーク」などと幼児2人同乗基準適合車シールの付いた、幼児2人乗せ専用の自転車を利用することが交通ルール上の条件になる。専用自転車は、価格が15万円前後と高額だが、自治体によっては購入補助が出るところもある。

実際にさまざまな設計上の工夫が施されている。たとえば、その強度や幼児座席が取り付けられる部分の剛性、安定性などが一般的な自転車以上に担保されているのだ。

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