子乗せ自転車「3人乗り」の悲惨な事故を防ぐ方法 総重量は100㎏超、7割がヒヤリハットを経験
子乗せ自転車「Gyutto(ギュット)」を展開し、電動アシスト自転車の市場シェアが46%とトップのパナソニック サイクルテックの中田充生開発戦略担当統括部長は、安全性を上げるための設計上の工夫についてこう語る。
「事故が起きやすいのは、停車している状態から発進するとき。通常の自転車よりも重いことによる走行不安定や、ペダルを踏み込んだときのふらつきを防止するために、車体のパイプの外径や厚みを増して強度を高めている。さらに、子どもの乗り降りを容易にするために自転車の車輪を通常よりも小さい20インチにしたり、スタンドを立てるときに自動的にハンドル部分にロックがかかる機能を搭載している」
専用の自転車を利用したうえで、次に重要なのが正しい乗り方を知ることだ。定期的なメンテナンスを怠らない、幼児用座席ではシートベルトやヘルメットをつけさせる、などは事故を防ぐ基本中の基本だが、意外な盲点もいくつかありそうだ。
まず、自転車を購入していきなり乗り始めないことだ。東京消防庁の救急搬送データによれば、1年のうちで子乗せ自転車の事故が増加するのは4月から7月にかけてだ。保育園や幼稚園への送迎のために、新しく自転車を乗り始める人が増える時期と重なる。
事前の練習や点検を忘れずに
前出の中田氏は、子乗せ自転車を使い始める前には念入りな準備が必要だと指摘する。
「普段から自転車に乗っていない人が、いきなり子どもを乗せて走るのは難易度が高い。まずは公園などで幼児用座席に新聞紙などを積み、練習することが重要。さらに、通園に使う際には事前にルートを下見し、古くて凸凹した道、狭い道がないかなどを点検しておくとより安全だ」
さらに、子どもの乗せ降ろしにも注意が必要だ。消費者安全調査委員会の調査によれば、前の座席に子どもを乗せたまま、後ろ座席に子どもを乗せ降ろしした際、自転車が転倒するケースが多発している。座席がスタンドの上にあり、安定性が高い後ろの座席に座る幼児の乗せ降ろしは、乗せるときは最初、降ろすときは最後にすることが停車中の転倒防止につながる。
自動車やバイクと比べて、自転車への乗車はつい心理的なハードルが低くなりがちだ。だが、子乗せ自転車の運転は1人で乗るよりも難易度が高く、何より運んでいるのは大切な子どもの命だ。乗り始める前にどんな点にリスクがあるのかを認識し、十分に準備しておくことが事故防止の一助になるはずだ。
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