大企業→中小のミドル転職が成功しない本当の訳 経験豊富なベテランが転職市場を賑わせるが…

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

4月11日発売の拙著『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』では、それぞれ「変わることランキング10」「変わらないことランキング10」が収録されている。

この「変わることランキング10」で、ダントツ1位だったのが『デジタルシフト』であった。営業第一人者18名にインタビューした結果、大半の人が1位に推した。

経験と勘と度胸(KKD)で営業する時代は終わっている。

データを分析すれば、かなり高い精度で予測することができるようになった。今期の目標を達成するために、今どれくらいの案件が積み上がっていないといけないか。それを怠れば、どのような着地ラインが予想されるか、わかるのだ。

これまで2~3日かかっていた与信診断が、現在はAIの進化によって1時間近くまで短縮されている。そんな時代だ。だから、当然「着地の読み」も人間がやるより正確に、そしてスピーディに実現されるようになった。

新時代の営業「変わることランキング10」の第9位は『マネジメントの高度化』。

AIを駆使し、意思決定を補ってくれる環境はすでに整っている。たとえばマネジャーが意思決定する際、3つの選択肢を提示してくれるシステムがあれば、マネジメントはずいぶんとラクになる。部下を育成したり、リーダーシップを発揮するためには人間が必要だが、マネジメント業務に絞れば、人間がやるべき作業は減っている。

高度な「カーナビ」のようなものだ。目的地を入力するだけで、最適なルートを瞬時に検索してくれる、そんなナビが搭載された車なら、運転手のストレスは、かなり低減されることだろう。運転手の嗜好や運転のクセなどをAIが学習し、その都度最適なルートをも提示してくれるようになる。

あっけにとられる「ミドル転職」マネジャーの言動

大企業と比べ、中小企業のデジタルシフトは、かなり遅れている。2021年の調査では、中小企業経営者の7割近くが「DXを知らない」という衝撃的な結果が出ている。ホワイトカラーのデジタルシフトは、とくに遅れていると言われる。

このような状況で、大企業のマネジャーを招き入れるのはリスクが高い。なぜか?

「実力がない」からである。

IT企業大手のマネジャー(48歳)が、中堅商社へ転職した例を紹介しよう。このベテランマネジャーも、前職では実績十分であった。にもかかわらず、転職先では、まったく力を発揮できていない。

「いまだに現場ではエクセルを使って計数管理をしている。こんな古いやり方では、とてもマネジメントできない」

とぼやいていた。

次ページマネジャーの能力は本当にあったのか
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事