「海の森水上競技場」が負の遺産を回避するカギ 五輪施設の課題点は認知度向上とアクセス改善

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快晴の5月4日にも現地を再撮影に訪れたのだが、東京ゲートブリッジや東京スカイツリーなどが一望できる爽快な環境の中、10人乗りのドラゴンボートを体験する人が次々と訪れていた。

東京ゲートブリッジも一望できる場所にある(筆者撮影)

東京五輪でボランティアを務めたという10数人のグループに話を聞くと「事前予約が取れずに来場したところ、急遽、船を出してくれて、特別にトライさせてもらえました。

東京湾は身近でも、その上をボートやカヌーで走る経験をしたことのある人は少ない。我々にとっても新たな発見の場になりました」と喜んでいた。

「年間300回は体験会を実施する予定です。5月12~15日に第100回ボート全日本選手権大会、直後の20~23日に東京都カヌースプリント選手権大会兼国体予選があるので、それが終わってから具体的な日程を出していくことになります」と荒澤修所長も話す。来場者を増やし、認知度を高めることが、同競技場の直近の重要テーマと言っていい。

体験会の様子(筆者撮影)

「天気のいい日は富士山も一望できる開放的なロケーションと羽田空港から近いアクセス面は強み。

隣には海の森公園もありますし、今回の『クロフェス2022』のような活用もできる。海の森水上競技場にはポテンシャルがあると思います」と東京都生活文化スポーツ局スポーツ施設部施設整備第一課の武田真吾課長が強調するように、確かに同競技場の使い道はいろいろありそうだ。

競技以外での利用促進もカギに

艇庫棟・グランドスタンド棟・フィニッシュタワー棟の3棟からなるこの施設は、単にボート・カヌー競技にとどまらない活用法が考えられる。

艇庫棟には宿泊施設や食堂・厨房があり、合宿や研修旅行はもちろんのこと、企業・団体のパーティーやイベントにも貸し出すことができる。宿泊施設は4人部屋の個室Aと16人部屋の個室Bがあり、前者は1人1泊4500円・後者は同3000円と東京都内としてはかなり安価。コロナ禍を踏まえ、今後は個人利用料金も設定し、使い勝手をよくしていく方向だという。

10人乗りのドラゴンボートの体験会の様子(筆者撮影)

屋上からは東京湾の絶景が見渡せるということで、前出の五輪ボランティア経験者グループはレジャーシートを敷いて昼食会を楽しんでいた。

猛暑の夏場と厳寒の冬を除けば、ピクニック気分を味わうことも可能だろう。

「隣接する海の森公園と連携したい」と前出の武田課長も前向きにコメントしていたが、ボート・カヌー体験会なども含め、新たなレジャースポットとして売り出していく努力は必要不可欠だ。

とりわけ、アウトドアイベントが注目されているコロナ禍の今は海の森の優位性を発揮しやすいタイミング。荒澤所長も「騒音が出ても影響がないロケーションなので、音楽イベントなどは誘致できる。力を入れていきます」と意気込んでいた。

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