東京五輪のレガシーは長野の21年の歩みに学べ

エムウェーブ維持に苦労もスケート文化醸成

長野五輪に際し、建設されたエムウェーブ(長野市オリンピック記念アリーナ)(筆者撮影)

五輪開催経費で総額1兆3500億円という巨額予算を投じて開催される東京2020大会(東京オリンピック・パラリンピック競技大会)。今後さらなる準備などで、大会組織委員会や東京都・国が負担する開催経費が膨らむ可能性もある。

約1年後に迫った国家的イベントが順調に開催されるかどうかは国民の大きな関心事だ。ただ、それ以上に気になるのが「オリンピック・レガシー(社会的遺産)」をどう残すかだろう。

五輪本番に向けて目下、新国立競技場など複数の会場整備が急ピッチで進められている。そのなかでも、江東区青海の「海の森水上競技場」を筆頭に五輪後の収支見込みが現時点で赤字という施設が5つもあるのは見逃せない点だ。それだけに、五輪施設の後利用についてより一層の関心を寄せていく必要があるだろう。

21年前の長野冬季五輪から学べることは何か

そこで参考にしたいのが、1998年長野五輪の例。21年前の冬季五輪の際、ホストシティの長野市では、競技会場をいくつも新設した。

エムウェーブの中に入るとスケートリンクの前に記念撮影用の表彰台が置かれていた(筆者撮影)

スピードスケート会場の「エムウェーブ(長野市オリンピック記念アリーナ)」、アイスホッケー会場の「ビッグハット(長野市若里多目的スポーツアリーナ)」と「アクアウイング(長野運動公園総合運動場総合市民プール)」、フィギュアスケート会場の「ホワイトリング(長野市真島総合スポーツアリーナ)」とボブスレー・リュージュ・スケルトン会場の「スパイラル(長野市ボブスレー・リュージュパーク)」、そして開閉会式を実施した「長野オリンピックスタジアム(長野市南長野運動公園総合運動場野球場)」の6つ。

施設整備の借金を20年がかりで返済し、財政健全化を図ったところだ。赤字経営が続き、維持できなくなったスパイラルを2017年度末に休止させた以外は、現在に至るまで有効活用がなされている。

スパイラル休止に関しては追って詳報するが、長野市としては「五輪のレガシーを残しつつ、有効活用を図る」という考え方でここまでやってきた。毎年4月開催の『長野マラソン』で、スパイラル以外の5施設を回るコース設定がなされているのも、「長野五輪の記憶を残したい」という意向の表れだ。

現在は体育館になっているフィギュアスケート会場のホワイトリング(筆者撮影)

「ホワイトリング」が体育館、「アクアウイング」がプールというように、上記の大半が他競技の施設に変わるなか、1998年当時から「スケート場としての活用」が主になっているのが「エムウェーブ」だ。

”長野県のスケート文化を守り、発展させる”という基本方針を踏まえ、同施設は10~3月の26週間をスケート場として営業。それ以外はコンサートや企業イベントなどに使用されている。

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