日本の事業会社:11年の見通し--格付けの安定化は続くが、改善の速度は不透明/その2・主要業界の見通し《ムーディーズの業界分析》

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コーポレートファイナンスグループ
SVP- チームリーダー 谷本 伸介/VP-シニア・クレジット・オフィサー 廣瀬 和貞
小坂 則子 VP-シニア・アナリスト/岡本 賢治 VP-シニア・アナリスト
臼井 規 VP-シニア・アナリスト/澤村 美奈 AVP-アナリスト
高橋 良夫 AVP-アナリスト/斉藤 円 アソシエイト・アナリスト

●主要業界の見通し

格付け対象となる主要業種の見通しは、概して安定的であるが、国内経済の低成長、外国為替水準の円高、経済政策/財政政策の不透明さ、あるいは特定の産業においては生産能力の過剰といったネガティブな要素も含まれている。

自動車業界
 ムーディーズは10年5月より、世界の自動車業界のアウトルックを「ポジティブ」と見ている。また、収益も改善傾向が続くと予想している。同様に日本の自動車会社の基本シナリオも、11年は10年に続き収益率の改善が期待されている。

今後の課題としては、自動車業界の変動性、また新興国への需要のシフト、国内の補助金の終了、また縮小後の対策などが挙げられる。円高環境下での競争力の維持も、重要な課題の1つである。

10年にムーディーズはトヨタ自動車をAa1からAa2に格下げした。これは主に品質問題、またはリコール問題により、収益の低迷が長引くことが予想されるためである。10年は、その他の格付けを付与している自動車会社に関して格付けの変更は行っていない。

10年の米国市場は、トヨタ自動車のリコール問題、トヨタ自動車・ホンダの新車投入が少なかったこと、ガソリン価格安定によるライトトラック需要の増加などの要因が日本メーカーにとってネガティブであった。他社がインセンティブを下げる中、トヨタ自動車とホンダは積み増したが、2社の市場シェアは09年より下がった。

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