BS局が地上波と一味違う「報道番組」売りにする訳 当事者、専門家の声をじっくり聞けるスタイル
2018年10月に始まったBS-TBS「報道1930」の松原耕二キャスター兼編集長にも話を聞いた。やはりBSに6つの報道番組があることは「良いことだと思います」と語り、「プライムニュース」もライバル視していない。
「両番組が切磋琢磨することが全体の底上げにつながると思います」(松原氏)
松原氏は地上波の「NEWS23X」(2010~2013年)などのキャスターも経験した。地上波とBSとの違いをどう捉えているのだろう。地上波のニュース番組はその日の主な出来事を過不足なく伝えなくてはならないが、ほかにも異なる点があるのだろうか。
「日本ほど地上波のニュース番組が多くの映像を集め、丁寧にまとめている国はないと思います。しかしVTRが中心なので、それを受けてのコメントの時間は限られます。キャスターのコメントはせいぜい20秒とか30秒でしょう。ゲストを呼んでも多くの場合は長く話が聞けません。『そのニュースの背景は何なのか』というところまではなかなか手が届かないのが現実です」(松原氏)
地上波ニュース番組の持つ宿命から解放されている
一方、BSの報道番組は「地上波のニュース番組が持っているそうした宿命みたいなものから解放されている」(松原氏)ため、別のスタイルの報道番組が作れる。これもBS各局が報道番組を相次いで誕生させた理由の1つに違いない。
「報道1930」の場合、政治や経済、国際問題などのニュースや話題に関するキーパーソンを3人程度招き、松原氏とじっくり話し合う。ただ、ほぼ全編にわたってゲストの話を聞く「プライムニュース」とは違って、松原氏がゲストに問いを投げかけるきっかけとして中継や短いVTR、フリップ、CGを駆使する。もちろん番組のスタンスも違う。
「僕は日々起きているニュースの全体像のようなものを見せられないものものかと常に考えています。その方法としていつも意識しているのは、世界観と歴史観なんです。世界観というのは世界のなかでのわれわれの立ち位置。歴史観とは歴史の長い軸のなかでの自分たちの立ち位置。このふたつを意識して構成することによって、起きていることの全体像みたいなものを提示したいと思っています」(松原氏)
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