「現在国際社会は3つの基本的な問題に直面しています。まず、現在もウクライナに留まる人々への人道支援を確実にすることです。とくに物質的支援、つまり食料や医薬品、その他ウクライナ政府が求めるすべてのものです。しかし、戦争状態が続いているため、ウクライナ全人口の13%が最近まで世界から切り離され、身動きが取れない状況にあります」
さらに、何百万ものウクライナ避難者に対し、受け入れ支援を行う国に対する援助が必要だと説く。「これはどの国も自分たちだけでは対処することができない、膨大な経済的負担となっています。ポーランドは、日本がウクライナの避難者のために行った経済支援を評価しています。われわれが期待するのは、日本の支援が継続され、引き続き拡大されていくことです」。
そして、長期に及ぶ問題として戦後のウクライナの再建のための支援だという。「すでに現時点で、再建コストは数千億ドルと見積もられており、戦争が継続する限り、コストも増大していきます。2022年だけでもウクライナのGDPは少なくとも45%低下すると見られています。全世界が正義のために戦っているウクライナ国民の勇気に感謝しなければならず、再建の道を支援する際も連帯を示すべきです。この分野での貢献において、日本は十分な経験と名声を持った国です。われわれは日本からの大きな活動と支援に期待できると確信しています」。
支援の最前線に立つ日本の団体
一方、ポーランドと緊密な関係にあり、日本のウクライナ支援の最前線で活躍しているのが東京都の社会福祉法人福田(ふくでん)会だ。
1876年、寺院を中心に日本で最初の児童養護施設の運営を開始した福田会。第1次世界大戦後の1920年には、シベリアで孤児となったポーランドの子ども375人が日本赤十字社の援助のもとで来日し、当時の福田会育児院で彼らは療養した。関係者らの手厚い看護や支援のおかげで、心身ともに疲れ切っていた子どもたちは回復を果たし、369人が無事に帰国を果たしたのだった。
しかし、残念なことに日本ではその後、この史実がよく知られていない。それが11年前、当時の日本大使だったヤドヴィガ・ロドヴィッチ=チェホフスカ氏が偶然、福田会の前を通り「この福田会は、あの“ふくでんかい”ですか?」と言って同会を訪問したことで、前述の史実が再び動き出す。
福田会で広報を担当する我妻みずきさんによれば、当時の職員は、誰も何のことかわからなかったという。しかし、この偶然をきっかけに、福田会とポーランドとの交流が始まった。2019年10月にはアガタ・コルンハウゼル=ドゥダ大統領夫人、2021年7月にはアンジェイ・ドゥダ大統領がそれぞれ来日した際に福田会を公式訪問。今日の日波友好のシンボルとなっている。
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