また、「スコアは高いけれども実際に使えない人」問題について見逃してはいけないのは、スコアは高いけれども「意外と使えない人」と、スコアが低くて「やっぱり使えない人」のどちらが多いか、という点です。言わずもがな、後者の方が多いに決まっています。
英語を駆使し仕事をできる人は、多くの場合英語の試験のスコアも高いわけですから、スコアの高低と仕事の能力の間に(完全ではないけれども)一定の相関関係があることは明らかです。
TOEICを人事制度の一定の指標にすることは合理的と述べましたが、社員の語学力アップを考えた場合にベストな方法は別にあります。それは、「海外に放り込む」ことです。
火事場の語学力を発揮させよ
以前、勉強のモチベーションについての相談をいただいた際に取り上げた通り、人間を奮い立たせるものは「危機感」です。語学ができない状況でいきなり海外に放り出された場合、コミュニケーションが取れなければ何もできないのですから、必死になります。“火事場の語学力”を発揮し、飛躍的に語学力が向上すること請け合いです。
ちなみに私も、高校1年の時に3週間だけロンドンに語学研修に行ったことがあります。最初のクラス分けペーパーテストでなまじヤマが張れてしまったものだから、上位のクラスに入れられてしまい、まわりの生徒とのスピーキング能力の差に唖然としたものです。
「あなたが栄養たっぷりの画期的なコーンフレークを開発したとして、なぜそれが素晴らしいのか、皆さんにプレゼンしてください」というお題が出て、good とかniceとか稚拙な言葉を駆使し、美人イタリア人に笑われながら必死になって話したことを思い出します。あれもいい経験でした。たった3週間でしたが、最後はだいぶ話すことに抵抗がなくなりました。
日本に帰って努力を継続しなかったため、すっかり元の木阿弥でしたが、放り込まれれば何とかなる、という原体験ができた。社員教育でも同じことができそうです。必死になる状況を作ってあげれば自然と這い上がってきますし、それで這い上がれない社員は、高く評価しなくていいと思います。
以上、私としては、TOEICを指標にすることは合理的だが、もっと効果があるのは「放り込む」ことだと考えています。会社の人員や予算の問題があるのは重々承知していますが、どうか視野を狭めずにご検討ください。
また、自動翻訳技術がこれだけ向上している昨今、英語がどの程度必要かというのは人によって異なるので、人事制度を作る前に自社の各社員にとっての英語の必要性を改めて考えるべきとも思います。まぁ、その話は長くなりそうなので、含みだけ持たせておいて。今日はこの辺で!
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