人事評価にTOEIC、本当に意味がある? 会社に語学力が必要なら、「放り込む」が得策

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むろん、「短期的な目標」という意味であれば一理ありますが、それはたとえるなら、マラソンの最中に「あの木のところまで頑張って走ろう」と思って走るのと同じ。ゴールがはるか遠くに見えないから、近くに見えるものをとりあえずの目標としていると考えてください。

なので当然のことながら、語学についても、TOEICなどでの点数取得が最終目的にはなり得ません。

ところで、医師国家試験や司法試験などの試験と、TOEICなどの語学力の試験とのいちばんの違いは何でしょう。誰にでも分かる違い、それは「関所」があるのかどうかという点です。医者や弁護士の資格試験の場合、合格がその後の道に進む「関所」の通行券になっているので、受かることの重要性が飛躍的に上昇します。だって、受からないと関所の先に進むことすらできません。

語学試験にも「ヤマ張り」は必要?

一方語学力の場合、最終的な目的は「語学を駆使してコミュニケーションや仕事ができるようになる」といった点にありますが、これは実は国語力と似ていて、不断の努力によって少しずつ達成されるもの。つまりTOEICなどの試験は「関所」の通行券ではなく、ある能力を有していることの「証左」に過ぎないのです。

そう考えれば、確かに「点数だけ高くても意味がない」という論調になりがちで、人事的な評価の指標に入れなくてもいいのでは、と考えるのも分からなくはないことです。

とはいえ、TOEIC以外にポピュラーで使えそうなテストがない今、TOEICを指標として採用することは合理的だと、私は思います。これは、「そのテストだけで測れるものではないが、一つの指標にはなる」という意味で、ちょうど就活の際のSPIテストと状況が似ているでしょう。試験を用いることで能力を数値化し、比較することができるので、試験を指標にするのが「公平」で「わかりやすい」ことは事実なのです。

では、もう少しミクロな視点で考えてみます。そうした語学の試験を受ける場合に、「ヤマを張る」ことは重要なのか。これは120%、YES!です。

もちろん、TOEICでの高得点と高い語学力に完全な相関関係があるわけではありません。「スコアは高いけれども実際には使えない」人がいるのも事実でしょう。私はまさにその口です(笑)。

ただ、試験である以上、どうすれば高い点数を取ることができるのか、を考えることで、いわゆる“ど真ん中”の語学力だけではなく、様々な能力が試されます。たとえば公式問題集や選択肢の作られ方を分析することは、観察力やリサーチ力を身に着けることにもなりますし、逆に点数を取れない人は、出題者が求めるものが分からないということ。仕事で求められているものもクリアに分からず、仕事の出来不出来にもつながっていくと思います。

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