「食品を山ほど捨てる日本人」親子で知るべき実態 池上彰が語る、大人こそ押さえたいSDGs的視点

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世界では、毎年13億トンもの食料が捨てられています(写真:bonchan/PIXTA)
この春4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。これによって、18歳になれば親の同意を得ずにローンを組んだり、賃貸物件を契約したりといったことも可能となっている。
こうした新たな時代に入った今、子の親である私たちは“大人の先輩”として彼らに何を教えるべきか。契約手続きなど実務の知識も大事なことだが、それ以前に、今の世の中を生きるために最低限知っておくべき“仕組みやルール”こそ、子どもに伝えるべきではないのか。この記事では、新刊『これから大人になる君たちへ 学校では教えてくれない未来を生き抜くヒント』を監修した池上彰氏に、「SDGs」に対する“そもそもの視点”をわかりやすく解説してもらった。

茶碗1杯分の食料を毎日捨てている日本人

世界では、食料生産量の3分の1にあたる13億トンもの食料が毎年捨てられています。日本においては、1年間に廃棄された食品の量が2018年は600万トン、2019年は570万トン。これは実に東京ドーム5杯分近くある計算で、国民1人あたりに換算すると、毎日茶碗1杯分の食料を捨てていることになります。

こうした、まだ口にできる食べ物が捨てられてしまう「食品ロス」は、外食産業などの事業で出るものが約309万トン、家庭で出るものが約261万トンで(2019年)、事業における食品ロスの主な原因は、食べ残しや売れ残り、規格外品など。家庭では、料理の作りすぎによる食べ残しや、食材の買いすぎによる廃棄などです。

食品ロスは単なる「もったいない」だけでなく、当然、地球の環境破壊にもつながります。食料を捨てることは、つまり「その食料を育てるための土地や水の無駄づかいをした」ということ。そして、水分を含む食品なら、車で運んだり焼却したりする際に、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を生み出すことにもなります。

池上彰氏(画像提供:KADOKAWA、撮影:関野温)

こうした状況から、例えば街の料理店などでは、盛りつけるご飯を少なめにしてお代わりを無料にしたり、皿の飾りつけを減らしたり、単品メニューの量を少なめにするといった手段をとるところもあるようです。作り置きをやめ、注文を受けてから調理する方法に変えることで食品ロスが大幅に減った店もあります。この日本でも、食品ロスを減らそうとする動きは確実に増えているのです。

客である私たちは、「量が少ない」「見た目がさびしい」「出てくるのが遅い」などの不満を抱く前に、こうした事業側の努力を知り、残さず食べられる量だけを注文したいものですが、最近では、食べ残しを持ち帰ることができるよう「ドギーバッグ(犬のための容器。犬に食べさせるという建て前で持ち帰る)」を用意する店もあるようです。

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