「食品を山ほど捨てる日本人」親子で知るべき実態 池上彰が語る、大人こそ押さえたいSDGs的視点
実は、日本は世界的に見て貧困率が高い
環境破壊がやがて導き出す問題には「貧困」もあります。日本の貧困率は約15%で、先進国の中でも高く(厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」2019年)、およそ6人に1人が貧困状態に陥っているといわれています。日本で暮らす人が生きるために必要なお金は1カ月に約15万円と見積もられ、1カ月10万円程度以下で暮らさざるをえない場合を「貧困」と定められています。
貧困は、もはや他人事ではありません。子どもの貧困率も14%となっており、1クラスに4、5人はいる計算です。自分が貧困であることを誰にも言えず、孤独を深めている子どももいるのが現実なのです。
世界に目を向けてみると、1日約200円以下で暮らさざるをえない極度の貧困層が、 約10人に1人、7億人以上もいるという結果が世界銀行から発表されました。SDGsでは、2030年までに極度の貧困に陥る人をなくそうとしていますが、目標を達成するのはそもそも難しいという意見もあります。
コロナ禍による失業も問題化するなど、誰しもいつ貧困に陥るかわかりません。貧困は“遠い国の話”ではないと知り、身近に感じることで、日々の言動にも変化が現れるのではないでしょうか。クラスに貧困にあえぐ子どもがいる現実や、誰しもがそうなってしまう可能性があるというリアルを、これから大人になっていく子どもたちにはしっかり認識させておきたいものです。
以上この記事では、これから大人になる子どもたちが「今の世の中を渡っていくために知っておくべきこと」のうち、「SDGs」に関連するトピックスをざっと解説しました。われわれ働く大人たちは、バブル景気の余波による「モノがあふれる時代」を、直接的に、あるいは間接的に体感したことのある年齢層も少なくないはずです。しかし、当時は当たり前だった「不要になったら捨てればいい」という甘すぎる認識は、もはや完全に「恥ずべき非常識」といえます。
大人として、そして親としてあらためて把握しておくべき「SDGs」的視点。私たちより2年も早く大人になる子どもたちに、地球環境を考えることはもう“当たり前の義務”なのだということをしっかり伝えていく。それこそが、今時の親としての“ニューノーマル”なのではないでしょうか。
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