廊下でその嫉妬している相手とすれ違い、「今度の人事、すごいね、おめでとう! 頑張ってね」と懸命に笑顔を作って言ってみても、笑顔が引きつっているようで惨めな気持ちになる。
その人が無邪気に「ありがとうございます。自分でも驚いているんですよ。務まるかどうか……」なんて照れくさそうに答えると、「またぁ、自信あるでしょう、大抜擢だもんね」と嫌味に聞こえるような言い方までしてしまったり、周囲からも「悔しそうだったね」と見透かされてからかわれたりすると、惨めさMAXで消え入りたくなったものです。
嫉妬=欲望の方向性、と認識しよう
ところが、そんなことを何回も何十回も経験するうちに、ふと、「こんな気持ちになる私って、すごーく欲が深いんだなあ。めちゃくちゃ生々しいわ~、煩悩だらけだわ~」と、他人事みたいに、自嘲ぎみに思えたことがあったのです。そうしたらすーっと気持ちが楽になった。昔のドラッグストアのCMでもあったけど「何でも欲しがる、○○ちゃんは~♪」って状態の自分に気づいたわけです。
それからは、人の成功や幸せを見て、なんだか素直に喜べていない、賞賛していない自分に気づいたときは、「自分の欲望を確認するチャンス」だと思うことにしました。
たとえば、卑近なところでいくと、知り合った子どもの友達のママがすごい美人で驚いたときなんかも、「彼女みたいなきれいな人と一緒にいたら、比較されて恥ずかしいわ」と思うのではなく、「あら、私ってあの方向の美人にあこがれてるんだわ」と思うようにするのです。
仕事だったら、「自分なんてまだまだだ」と思うのももちろんありですが、気持ちが下を向いてしまうのならば、「私って大きな組織を任されたいんだ」「部下がたくさん欲しいってこと?」「新規事業をやってみたいの?」とうらやましいポイントを“棚卸し”することにしたのです。いちばんうらやましいポイントが判明したら、「ふーん、あっち方向か」とかみしめ、「よっしゃ、それ、私も欲しい!」と前を向く。
誰かに対する嫉妬の気持ちには強弱がありますから、心から「すごい!」「やったね!」と素直に思えることももちろんあります。そういうときは、そっち側に欲望がいっていないということだと整理します。
自分の欲望がはっきりすれば、努力の方向も見えてくる。これは、精神衛生的にとてもいい。私はさらに、仕事上だとご本人にその気持ちを伝えちゃうことまであります。「うらやましくて胸がキリキリするわー。あこがれちゃう。私も頑張る! いろいろ教えて!」って正直に。引きつった笑顔で心を隠そうとするより、その後もその人といい関係が築けることが多いような気がするのです。美人なママ友にもあこがれの気持ちは伝えちゃって、なつくようにしています(笑)。そこから友情も芽生えたりするんですよ。
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